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中国の鉄鋼 |
米国・韓国・ベトナムの関税が中国鋼材を圧迫、内需鈍化で価格と利幅に打撃
世界最大の鉄鋼生産・輸出国である中国の鉄鋼輸出が2025年第2四半期に最大20%減少すると予測されている。貿易関係者やアナリスト8名がロイターに語った。これは前年同期比でも減少となる見通しで、国内の供給過剰と価格下落を一層深刻化させる可能性がある。
中国の輸出鈍化は、米国による対中関税強化と、韓国・ベトナムなどアジア諸国の自衛的関税措置が主因。米国市場向けの第三国経由(トランスシップメント)取引も実質的に遮断されており、輸出先の選択肢は狭まっている。
中国鉄鋼大手の関係者は、「中東、アフリカ、南米などの代替市場はあるが、中国の膨大な生産量を吸収できる国は存在しない」と語る。
輸出急増の反動と国内市況の悪化
2025年1~3月の鉄鋼輸出は、関税導入のうわさが流れる中、駆け込みで過去最高水準を記録。だが、第2四半期以降は急落が見込まれ、鉄鋼業界は「未曾有の圧力」に直面していると、宝鋼集団(Baosteel)の会長も認めた。
Mysteelの4月調査によると、中国の大手輸出業者の海外注文は前月比で20〜30%減少。コンサルタントの蘭格鋼鉄(Lange Steel)も、「電気自動車や家電など鉄鋼依存型製品への波及も懸念され、需要の第二の柱が揺らぎつつある」と警鐘を鳴らす。
国内では、不動産不況により建設用鋼材需要が低迷しており、輸出の失速は供給過剰、価格下落、製鉄所の採算悪化、鉄鉱石需要の後退といった悪循環を招くおそれがある。
この状況は、鉄鋼セクター全体の収益性や投資意欲にも波及し、特に**上海上場の大手企業(例:宝鋼、コード600019)**の株価動向にも影響を及ぼす可能性がある。
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STEEL