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Verde Magnesium |
マグネシウム供給の脱中国依存へ、CRMAで国内回帰を後押し
欧州連合(EU)は、ルーマニア・ビホル県ブドゥレアサで展開されるVerde Magnesiumのマグネシウムプロジェクトを「戦略的重要資源プロジェクト」に認定した。これは「重要原材料法(CRMA)」に基づき、欧州域内で20年以上途絶えていたマグネシウム生産の復活を目指す動きである。
現在、EU域内で使用されるマグネシウム金属の約97%は中国から輸入されており、供給リスクが顕在化している。今回のCRMA指定により、Verdeのプロジェクトは許認可の迅速化や規制支援などの優遇措置を受ける。
2036年に年産9万トン目指す、2028年に初期生産開始へ
Verdeは2028年末に商業生産を開始し、初年度は1.5万〜2万トンの年産規模を計画。その後、2030年には3万トン、2036年には最大9万トンへの拡張を見込む。
ただし、ルーマニア国家鉱物資源庁とのライセンス問題により、当初の開発スケジュールは遅延していた。2025年4月にようやく鉱業ライセンスを取得し、本格的な開発に進む。
CRMAの戦略指定に直接的な補助金は伴わないが、欧州投資機関からの資金支援や民間投資を呼び込む可能性が高い。
軽量合金産業の基幹金属、欧州での供給体制を再構築
マグネシウムはアルミニウム合金、自動車、航空宇宙、防衛用途などで不可欠な金属であり、CRMAの戦略リストにも明記されている。VerdeのCEOアレクサンドル・ロシュ氏は「同施設は欧州における低炭素型の採掘・加工・リサイクル拠点となる」と述べている。
EUでは、フランスのPechiney社が2001年まで最後のマグネシウム製造拠点を操業していたが、中国からの安価な輸入品の影響で閉鎖された。今回のVerdeの取り組みは、グローバルな供給リスクを回避し、欧州産業の回復力を強化する象徴的な一歩と位置付けられている。
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