EU、ロシアからの鉄鋼原料輸入を27.7%増加──2025年1〜3月期

銑鉄

半製品・銑鉄・DRIが主力、制裁下でもロシア産原料が流入継続

EUは2025年1~3月期において、ロシア産鉄鋼原料を174万トン(前年比+27.7%)輸入した。EU統計局(Eurostat)のデータをもとにGMK Centerが集計したもので、輸入総額は7億627万ユーロ(+5.2%)に達した。ロシアへの制裁が続く中でも、同国の鉄鋼原料は依然として欧州市場に大きな影響を与えている。

半製品・銑鉄が輸入量の大半、フェロアロイは激減

このうち半製品は85万3,300トン(-2.4%)を占め、金額ベースでは3億9,209万ユーロ(-13%)。主要輸入国は以下の通り:
  • ベルギー:34万4,350トン(-2%)
  • イタリア:20万8,350トン(+15%)
  • チェコ:14万5,260トン(+42.9%)
  • デンマーク:13万5,420トン(-9.4%)
銑鉄の輸入量は69万6,990トン(約3.5倍)に急増し、取引額は2億5,445万ユーロ(約3.2倍)。主要な仕向け国は:
  • イタリア:52万4,620トン(約3.8倍)
  • ラトビア:8万7,270トン(+98.7%)
  • ベルギー:3万1,070トン(前年同期はゼロ)
DRI(直接還元鉄)は18万6,300トン(-26.8%)、取引額は5,634万ユーロ(-35.9%)。
一方、フェロアロイの輸入はわずか1.7トンにとどまり、前年の2万2,500トンから激減した。

鉄スクラップは7,930トン(+24.4%)で、輸入額は338万ユーロ(+8.4%)。鉄鉱石の輸入はゼロ(前年は9,360トン)だった。

単月ベースでは輸入量・収益とも減少、制裁効果に限界も

2025年3月単月におけるロシア産鉄鋼・鉱山製品の輸入量は36万9,040トン(前年比-31.6%、前月比-26.6%)。内訳は以下の通り:
  • 銑鉄:1万8,590トン(-84.6% y/y、-90.9% m/m)
  • 半製品:30万1,870トン(-24.4% y/y、+12.9% m/m)
  • DRI:7万850トン(+57.5% y/y、+8.9% m/m)
  • スクラップ:4,720トン(+56.4% y/y、+58.3% m/m)
3月のロシア鉄鋼メーカーのEU向け輸出売上は1億7,107万ユーロで、前年比-44.5%、前月比-19.1%と大幅減少した。

なお、EUは2024年通年で534万トンのロシア産鉄鋼製品を輸入しており、金額ベースでは25億ユーロ超に達している。これは制裁措置の抜け穴や例外規定が依然として存在していることを示し、EU域内での見直し機運が高まりつつある。

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