欧州鉄鋼メーカーが「Buy Better to Build Better」連合に参画

Ori Martin

グリーン調達推進へ、建設・製造業界に変革の兆し

欧州の鉄鋼メーカー、建設企業、業界団体が、グリーン公共調達(Green Public Procurement:GPP)の推進を目指す新連合「Buy Better to Build Better(BBBB)」を発足させた。発表はブリュッセルの欧州議会で行われ、持続可能な公共調達の標準化と低炭素建設の普及を加速する意向が示された。

新連合には、伊オーリ・マルティン(Ori Martin)、リーヴァ・グループ(Riva Group)、そして欧州リサイクル産業連合(EuRIC)などが参加。公共調達における「最低価格のみを重視する慣行」の見直しを訴え、循環型・脱炭素材料の需要創出を目指す。

連合のマニフェストでは、「EU調達指令の改正により、最低価格だけでなく、品質・革新性・環境性能を考慮した横断的な評価基準を導入すべき」と提言。また、グリーン調達の実施体制を簡素かつ統一化し、公共機関への支援体制を強化することも主張された。

建設と鉄鋼業界が変革の鍵、カーボンニュートラル鋼材の需要増へ

EUにおける公共調達はGDPの15%、建設分野では支出全体の31%を占め、排出量の11%に相当する温室効果ガスの削減に直結する。持続可能な調達基準の導入により、グリーンスチールの市場拡大と価格低下が見込まれている。

リーヴァ・グループは、「本連合は、真に低炭素で循環型な材料の導入を進める重要な転換点」と強調。また、イタリア鉄鋼大手AVFベルトラメの開発責任者カルロ・ベルトラメ氏は、「最初のグリーンスチール・プレミアムは公共セクターから生まれる」と述べ、今後2年間で調達・金融の両面からカーボン排出への意識が高まると展望した。

現時点で、低炭素鋼への投資に対するプレミアムや報酬制度は整っていないが、市場の立ち上がりとともに、官民連携によるグリーン鋼材の普及が本格化する可能性が高い。

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