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第1四半期、米国からの鉄スクラップ輸入は23%減少も、ロシアからは2倍超に急増
トルコは2025年第1四半期、米国産鉄スクラップの輸入を大幅に減らす一方で、ロシア産の購入量を2倍以上に増加させた。米国からの出荷量は前年比22.5万トン減少したのに対し、ロシアからの出荷は9.7万トン増加した。これは、トランプ政権による関税再導入の動きを背景に、米国のリサイクル業界や輸出業者にとって大きな懸念材料となっている。
トルコ全体のスクラップ輸入も減少、国内供給増と粗鋼生産減が影響
業界情報会社SteelDataによると、トルコ全体の鉄スクラップ輸入量は前年比12%減少。主な要因として、2023年の地震後の復旧活動に伴う国内スクラップ供給の20%増加と、同国の粗鋼生産が3%減少したことが挙げられている。
米国だけでなく、英国(-21%)、ベルギー、デンマーク、フランス、リトアニア、ルーマニアといった主要供給国の出荷量も軒並み減少した。一方で、ロシア、オランダ、ポーランドのみが増加を記録している。
米国東海岸価格は一時上昇も、トルコ需要減で下落へ転じる
米国では、厳冬による供給制限などを背景に、東海岸の混合重スクラップ(HMS 1&2)価格が3月末に356ドル/トンまで上昇。しかしその後、4月末までに計51ドル下落し、5月初旬には295〜299ドル/トン(FOBニューヨーク港)まで値を下げている。
一方、米国中西部では製造業の減速が進み、発生スクラップ量の減少が懸念されている。あるスクラップ業者は「関税の導入が混乱を招き、鉄スクラップ供給にも影響が出る可能性がある」と語る。
米国鉄鋼業は安定推移も、通商政策の不透明感が重しに
ワシントン拠点の米国鉄鋼協会(AISI)によれば、2025年5月3日までの米国の鉄鋼生産量は2,930万トン(前年比1%減)。平均稼働率は74.8%と、前年の75.9%から微減しているが、深刻な低下ではない。
地域別では、南部が73.7万トンで首位、以下グレートレイクス(54.8万トン)、中西部(23.7万トン)、西部(7.1万トン)と続く。
一方、トランプ政権が4月に発表した相互関税政策の発動が7月初旬に迫る中、業界関係者や経済アナリストは、市場への影響を慎重に見極めている状況だ。
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