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リオ・ティント |
― 先住民アパッチの聖地保護訴訟、連邦最高裁審理を前に緊急措置
米アリゾナ州の先住民アパッチ族の信仰の地であるオーク・フラットの土地を、リオ・ティントとBHPによる銅鉱山「リゾリューション・カッパー」開発のために連邦政府が譲渡する計画について、米連邦地方裁判所が5月10日、暫定的な差し止め命令を下した。判事は、「宗教的自由の侵害に関する訴訟が連邦最高裁で審理される可能性が高い」とし、譲渡の即時実行はアパッチ・ストロングホールド(Apache Stronghold)側に「回復不能な損害」をもたらすと判断した。
判決を出したスティーブン・ローガン判事は、「公益の衡量はアパッチ側に大きく傾いている」と明言。鉱区の下には約1,810万トンの銅資源が埋蔵されており、開発が進めば直径3km・深さ304mの陥没が発生、アパッチ族の宗教儀式の場を物理的に消滅させる恐れがある。
この開発計画は2014年に米議会と当時のオバマ大統領が承認し、トランプ政権が最初の譲渡を開始。バイデン政権が一時中断したものの、2025年4月にトランプ氏が再び譲渡手続きを再開し、6月16日完了を目指していた。これに対し、アパッチ側が緊急差し止めを申し立てていた。
リオ・ティントとBHPは、開発が進んでも「安全が許す限り一般の立ち入りを認める」としていたが、ローガン判事はこの約束を**「法的拘束力を持たない」と一蹴**。また、これまでに投じられた27億ドルの開発費用や月額1,100万ドルの維持費についても「企業の自主的な判断にすぎない」と述べた。
リオ・ティントは「今回の短期的な命令は、現在最高裁で争われている法的問題の本質には影響しない」と声明を出したが、BHPはコメントを控えている。
アパッチ・ストロングホールドの指導者であるウェンズラー・ノジー氏は「この判決によって、連邦最高裁がオーク・フラットを破壊から守る時間が得られた」と語った。
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