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― アルセロール・ミッタルの高炉再稼働が追い風、先行きは不透明感も
2025年4月、ウクライナの鉄鋼業は商業用圧延鋼材の生産量を前月比14.2%増の54万6,500トンとし、過去9カ月で最も高い水準を記録した。ただし、前年同月比では6.5%減となっている(出典:Ukrmetprom)。
また、銑鉄の生産量は前月比17.3%増、前年同月比10.7%増の66万600トン、粗鋼の生産量は前月比25.7%増だが前年同月比では3.2%減の69万1,900トンとなった。4月の生産実績は月次・年次ベースで好調だった。
GMK Centerのアナリスト、アンドリイ・グルシュチェンコ氏は、「4月初旬にアルセロール・ミッタル・クリヴィー・リフで追加の高炉が再稼働したことが、生産増の主因」と分析。一方で、「この稼働水準を維持できるかはエネルギー価格、貿易摩擦、原材料確保能力など多くの要因に左右される」とも警戒感を示した。
2025年1~4月の累計では、圧延鋼材生産量は前年同期比0.4%増の198万2,000トン、銑鉄は8.1%増の236万3,000トン、粗鋼は1%増の242万5,000トンとなった。
2024年通年では、圧延鋼材が前年比15.8%増の622万トン、銑鉄が18.1%増の709万トン、粗鋼が21.6%増の758万トンと、戦争下にもかかわらず予想以上の回復を遂げた。ただし、GMK Centerは2025年について、「世界的な鉄鋼市況の低迷、ウクライナ製品への輸入制限の強化などにより厳しい年になる」との見通しを示している。
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STEEL