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輸出急増も、政府は年内ゼロクオータ制の導入を検討
ウクライナからの鉄スクラップ輸出が2025年4月に46,320トンとなり、前年同月比77.1%増、前月比でも16.1%増加した。国家税関庁のデータを基にGMK Centerがまとめた。
主な輸出先はポーランドで、全体の88.4%に相当する40,150トン(前月比+19.9%)を受け入れた。その他、ギリシャへ2,690トン(前年同月比-53.1%)、ブルガリアへ2,400トン、ドイツへ1,000トン(前月比+66.1%)が輸出された。
2025年1〜4月累計では、ウクライナのスクラップ輸出は127,210トンと前年同期比45.5%増。ポーランドへの輸出は112,490トンと急増(前年同期0.04千トン)、ギリシャ8,420トン(同-7.2%)、ブルガリア3,970トン、ドイツ2,130トンと続く。
4月の輸出収入は1,494万ドルで、前月比19.7%増、前年同月比71.3%増。1〜4月累計では3,925万ドル(前年比+39.4%)に達した。
2024年通年では29.32万トンの輸出(前年比+60%)を記録しており、2023年の18.25万トン(前年比3.4倍)、2022年の5.41万トンと比較しても著しい伸びを見せている。
こうした中、ウクライナ経済省は2025年5月上旬に、鉄スクラップの輸出に対してライセンス制およびゼロクオータ(実質輸出禁止)を導入する政令案を発表し、意見募集を開始した。国内製鉄業向けの原料確保を目的とした措置であり、過去にも需要急増時に同様の対応が取られている。
GMK Centerの分析によれば、スクラップは今後、輸出品というより戦略資源としての位置づけが強まる。グリーン製鉄と脱炭素化の進展により、世界的にスクラップ需要は急増しており、すでに48カ国が何らかの形で輸出制限を実施、そのうち3分の1以上が完全禁止に踏み切っている。
現在、世界の粗鋼生産の77%は、スクラップ輸出制限を課す、または課す予定の国々によって行われている。ウクライナでも今後は、スクラップをそのまま輸出するのではなく、スクラップを原料とした高付加価値な鉄鋼製品の輸出に切り替えることが合理的とされている。
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