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Fortescue |
技術的課題と設計変更で5年遅れ、戦略製品の供給に影響
世界第4位の鉄鉱石生産企業フォーテスキュー(Fortescue、ASX: FMG)は、総工費39億ドルのアイアンブリッジ(Iron Bridge)プロジェクトの完全稼働を2028年度に延期すると発表した。これは当初予定の2023年から5年の遅れとなる。
2019年に着工されたこのプロジェクトは、これまでにコスト超過、設備不具合、幹部の離職など多くの問題に直面してきた。2021年にはCOOのグレッグ・リリーマン氏を含む3人の幹部が退任している。
アイアンブリッジは、フォーテスキューが中・低品位鉱石からの脱却を図り、67%の高品位磁鉄鉱コンセントレートを生産する重要プロジェクトである。このエネルギー集約型プロセスにより、プレミアム価格が期待される。
セラミックライナーの劣化と空気分離装置の再設計
同社によると、処理施設内での「早期摩耗」が発生し、セラミックライナーの交換と空気式岩石分離機構の再設計が必要となった。現在は2026年6月までに年産1,000万〜1,200万トンの生産を目指している。
フォーテスキューは、近年アイアンブリッジを含めて高品位製品を2種類市場投入しており、もう一つは2018年に導入したWest Pilbara Fines(西ピルバラファイン)だ。今年中にはクリスマス・クリーク拠点のグリーンアイアン製品も発表予定だという。
オーストラリアがグリーン鉄鋼の開発を加速しない限り、鉄鉱石収入の最大半分を失う可能性があるとシンクタンクのClimate Energy Financeは警告している。
経営陣の刷新も同時進行
今回の発表では経営体制の刷新も明らかになった。エネルギー部門責任者マーク・ハッチンソン氏(65)が退任し、上級顧問に就任。COOのシェリー・ロバートソン氏も引退する。
後任として、アルゼンチンの元ラグビー代表主将アグスティン・ピショット氏が成長・エネルギー部門の責任者に就任し、フォーテスキューのグリーンエネルギー戦略を主導する予定だ。
なお、ライバル企業のリオ・ティント(ASX, LON: RIO)でも、CEOのヤコブ・スタウスホルム氏が年内に退任予定と発表されたばかりで、資源大手各社のトップ交代が相次いでいる。
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