ジンバブエのリチウム鉱山会社、輸出税の2027年までの延期を要請

リチウム

国内精製プラント稼働前の輸出環境維持を求める

ジンバブエのリチウム鉱山会社が、未加工リチウム濃縮物に課される5%の輸出税の施行を2027年まで延期するよう政府に求めている。産業団体「ジンバブエ・リチウム輸出業者協会(ZLE)」が、鉱業省および財務省に対し正式な要請書を提出したことが、ブルームバーグの報道により明らかとなった。

ZLEには中国・成渓リチウム(Chengxin Lithium Group)をはじめとする主要リチウム鉱山会社が加盟しており、同国のリチウム濃縮物は近年、中国のリファイナリー向けに急速に供給を拡大。調査会社CRUによれば、ジンバブエは2023年に中国のリチウム輸入の約14%を供給する存在にまで成長している。

リチウム硫酸製造設備の稼働まで猶予を求める

政府が「未加工(アンベネフィシエーション)」とみなすリチウム濃縮物への輸出税は、本来、国内での高付加価値化を促進する政策の一環だが、ZLEは「リチウム硫酸の製造設備が2027年に完成・稼働する見通しであり、それまでの2年半の猶予が必要」と主張している。

これにより、リチウム濃縮物を一時的にそのまま輸出し、中国で電池用グレードの最終製品へと加工するサプライチェーンが維持される見通しだ。

ロイヤリティ評価基準にも異議

また、同団体は政府が鉱山会社のロイヤリティ計算において、実際に生産されているリチウム濃縮物ではなく、より高価なリチウムカーボネートの国際価格を適用している点にも懸念を示している。

鉱業業界全体を代表するジンバブエ鉱業会議所(Chamber of Mines)は、5月19日に財務省と会談し、輸出税の延期を含む提案について協議したことを認めた。だが、詳細については現段階でコメントを控えている。

中国企業による数十億ドル規模の投資が進む中、ジンバブエはアフリカにおける主要なリチウム供給国としての地位を確立しつつある。今後の税制の動向は、グローバルなEV用バッテリー原料の流通にも大きな影響を与えることが予想される。

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