イタリアの粗鋼生産が回復基調に:2025年4月は前年比6%増

粗鋼

フラット製品とロング製品がともに拡大、年間減少傾向に変化の兆し

2025年4月のイタリアの粗鋼生産量は前年同月比6%増の約170万トンとなり、3月および第1四半期に続く増加となった。
業界団体FederacciaiがKallanishに提供したレポートによると、この回復は熱間圧延製品の両分野で明確に表れている。

1〜4月の累計粗鋼生産量は前年同期比3.8%増の730万トンとなった。

フラット鋼材は4月単月で13.3%増の81.7万トン、1〜4月で10.5%増の330万トンとなり、需要回復の兆しを示している。
一方、ロング製品も4月に6.5%増の100万トン、1〜4月で0.9%増の410万トンとなり、堅調な供給体制が維持されている。

過去3年間の減少傾向に歯止めか、2025年の通年動向に注目

イタリアの粗鋼生産は、過去数年間にわたり減少傾向が続いていた。
2024年は前年比5%減の1,990万トン、2023年は2.5%減の2,100万トン、2022年は11.5%減の2,160万トンと低迷が続いていた。

しかし、2025年の第1四半期以降の回復傾向は、長期低迷からの転換点となる可能性がある。
とくにフラット製品の回復は、自動車・家電・建築といった最終用途の回復とも連動しているとみられる。

Federacciaiはこの改善傾向が今後も継続するかは、欧州域内の需要環境とエネルギーコスト次第だとしており、引き続き不透明感が残る。

金属フォーカス編集部コメント

イタリアの粗鋼生産が反転の兆しを見せたことで、EU域内の鋼材供給安定への期待が高まる。
ただし、構造的な需要低迷と電力コスト上昇という課題は依然として重く、持続的な成長にはグリーン投資と政策支援が不可欠だ。
今後の欧州市場の回復トレンドを占う重要な指標として注視したい。

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