EUROFERとEUROMETAL、欧州鉄鋼サプライチェーン支援で連携強化へ

EUROMETAL

欧州委員会主催「スチール・ダイアローグ」を契機に初会合

2025年4月、欧州鉄鋼連盟(EUROFER)と欧州金属流通加工業連盟(EUROMETAL)のリーダーたちが、
欧州の鉄鋼および鉄鋼関連産業支援に向けた連携強化を目的に初の協議を行いました。
この会合は、3月4日に欧州委員会が主催した「スチール・ダイアローグ」で、
EUROMETALが輸入鋼材派生品による欧州流通・加工・製造業への影響について懸念を表明したことを受けたものです。

両団体は、強固な製造基盤がEUの戦略的自律性の鍵であり、鉄鋼生産と加工を含むサプライチェーン全体が不可欠であると認識。
EUが策定した「スチール・メタルズ・アクションプラン」は出発点にすぎず、
これを効果的な規制・支援策へと具体化するには、バリューチェーン全体の知見共有が重要だと強調しました。

欧州中間加工業の危機感-13.6百万の雇用に直結

EUROMETALは、欧州における中間鋼材加工市場の約50%を占める会員企業を代表しており、
競争力維持にはより的を絞った支援が不可欠と訴えました。
鉄鋼メーカーが直面する「縮小する顧客基盤」、特に下流分野の衰退は、
欧州全体の産業生態系に深刻なリスクをもたらします。

両団体は、鉄鋼サプライチェーンの弱体化がEU域内の1,360万人の直接雇用に脅威を与えると警告。
また、単なる経済損失にとどまらず、R&D拠点の国外流出、イノベーションハブの喪失、
域外依存の拡大といった欧州産業の空洞化(ディインダストリアライゼーション)を招くと指摘しました。

継続協議へ-政策支援をEUに要請

EUROFER事務局長アクセル・エッガート氏は
「投資、イノベーション、高品質雇用を守るため、EUROFERとEUROMETALは欧州鉄鋼バリューチェーンの活性化に取り組む」と述べ、
EU政策当局に対し両団体の取り組みへの支援を呼びかけました。

また、EUROMETAL会長アレクサンダー・ユリウス氏も
「欧州の鉄鋼生産・使用産業全体が危機に瀕している。
EU政策立案者はバリューチェーン全体を視野に入れた支援拡大を急ぐべきだ」と訴えました。

今後も分析と議論を継続し、具体的な施策提案へつなげる方針です。

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