トランプ大統領、重要鉱物確保へ海底鉱業の許認可を迅速化する大統領令に署名

トランプ

米国沿岸および公海における深海採鉱を加速、ニッケルやコバルトなどの重要鉱物供給網を強化

2025年4月、ドナルド・トランプ米大統領は、深海採鉱の迅速な展開を促す大統領令に署名し、米国の重要鉱物供給体制の強化に乗り出しました。
この命令は、ニッケル、銅、マンガン、コバルトなどの戦略鉱物の確保を目的としており、
米国の排他的経済水域(EEZ)内および国際海域における採鉱活動を大幅に促進する内容です。

政権関係者は、米国の海域内だけでも10億トン以上の多金属ノジュールが存在すると見積もっており、
これらにはEV、再生可能エネルギー、防衛産業に不可欠な素材が含まれます。
採掘が本格化すれば、10年間で米国GDPに3,000億ドル、雇用創出10万人規模の効果があると期待されています。


大統領令の主なポイント:規制緩和と国際的な枠組み構築へ

この命令では、1980年の「深海硬鉱物資源法」に基づく許認可審査の迅速化が指示されており、
米国大陸棚外縁部での採鉱リースの法的枠組み構築も進められます。

また、公海における米企業の活動参加促進を目的とし、
国務省、内務省、エネルギー省などが連携し、国際的パートナーとの連携枠組みや利益共有メカニズムの提案も求められています。

トランプ氏はこの大統領令で、
「海底鉱物資源における主導権の確保は、米国の国家安全保障および経済的利益にとって極めて重要だ」と明言しています。

環境団体は懸念、国連枠組みとの溝も顕在化

一方で、環境保護団体グリーンピースのアルロ・ヘムフィル氏は、
「人類共通の財産である海洋環境を破壊する権利は、いかなる政府にもない」とし、
深海産業の生態系への影響を強く懸念しています。

また、国際海底機構(ISA)は依然として採鉱に関する環境基準の拘束力ある合意形成が未達であり、
米国は国連海洋法条約の非加盟国であることから、国際的な調整に課題を抱える状況です。

60日以内に民間関心度の報告義務、国家備蓄にも深海資源を検討

今後60日以内に、商務長官は関連省庁と協力し、民間企業による探査・採掘・加工への関心度をまとめた報告書を提出することが義務付けられています。
また、国防備蓄資源への活用や、国防生産法(DPA)の適用による国内加工体制の強化も検討項目に含まれています。

大統領令では、「海底鉱物資源」を多金属ノジュール、コバルトリッチクラスト、ポリメタリックサルファイドなどと定義し、
「加工」を濃縮、精製、合金化、実用形態への変換まで含めた広義に再定義しました。

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