米国アルミニウム関税でプレミアムが急騰、供給網に構造変化

 MetalMiner

トランプ関税が業界を直撃、物流混乱と価格高騰が広範囲に波及

2025年4月、米国による新たなアルミニウム関税の発動を受け、米国内のアルミニウムプレミアム価格が過去最高水準に達した。EUからの製品に対して20%、英国からには10%、さらに既存の25%の関税も加わり、業界全体に強いコスト圧力がかかっている。

米国では、ロンドン金属取引所(LME)のアルミ価格に加え、輸送・通関などを反映した「ミッドウエスト・プレミアム」が上乗せされるが、これが関税発動以降、急騰した。
MetalMinerやReutersの報道によれば、現在の米国国内価格は数年来の高水準にあり、輸入企業は調達戦略や在庫方針の全面的な見直しを余儀なくされている。

構造変化迫る米国製造業、業種を超えた影響も

米国はアルミニウムの純輸入国であるため、関税コストは消費者に転嫁される傾向が強い。輸送、建設、包装、自動車、航空機、飲料缶など、多くの業界が打撃を受けている。
また、トランプ関税を前にした駆け込み輸入(フロントローディング)が相次ぎ、物流が逼迫。一部ではアジアからの出荷を一時停止する企業も見られるという。

Century Supply Chain Solutionsのジム・マッカレン氏は「これは物流の問題だけでなく、リスク管理と計画、構造的な改革を要する局面だ」と指摘する。

地政学リスクと運賃高騰がさらに混乱を拡大

米国のアルミ市場を取り巻く不安要素は関税だけではない。中東の緊張により、スエズ運河経由の輸送が困難となり、紅海を避けて喜望峰を経由するケースが増加。これにより、アジア~米国東海岸間の輸送日数が大幅に延びている。

一方で、世界的な海上コンテナ運賃は2021年のピークから約75%下落しているが、これは貿易量の減少による側面もあり、今後の政策次第では再び急騰するリスクがあると専門家は警告する。

さらに、米国内ではトラック運送業の景気低迷により輸送キャパシティが縮小しており、特に東海岸向けの物流において遅延のリスクが高まっている。

関税、地政学、物流、すべての要素が交錯しながら、アルミニウム市場に「構造的な変化」が迫っている。

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