Barrick Gold Corp. |
世界有数の金鉱山会社であるバリック・ゴールド(NYSE: GOLD、TSX: ABX)は、カナダ・オンタリオ州のヘムロ金鉱山の売却を目指し、買い手の募集を開始した。金価格が史上最高値を更新する中で、資産最適化と北米鉱業への関心の高まりを背景に、同社は保有鉱山の再編を進めている。
事情に詳しい関係者によれば、2025年4月にカナディアン・インペリアル銀行(CIBC)をアドバイザーに起用し、入札プロセスを開始した。正式なコメントは出されていないが、売却が完了すれば、バリックは創業の地であるカナダから実質的に撤退することになる。
バリックは2019年のランドゴールド・リソーシズとの合併以降、カナダでの存在感を段階的に縮小。トロント本社の業務も分散型運営へと移行しており、経営陣の多くもカナダ国外に拠点を置いている。
ヘムロ鉱山は2024年に14万3,000オンスの金を産出し、同社全体の金生産量の約3.5%を占めていた。なお、バリックは直近でアラスカの金プロジェクトにおける持分を10億ドルで売却しており、アフリカ・コートジボワールのトンゴン鉱山についても売却先を探している。
こうした動きは、最大手ニューモント(Newmont)が「非中核資産」と位置付けた鉱山を売却し、43億ドルの資金を得た戦略と共通する。
一方でバリック株は年初来で同業他社を下回るパフォーマンスとなっており、老朽化した鉱山におけるコスト上昇や、マリ政府との対立によって大型金鉱山が操業停止に追い込まれるなどの課題も抱えている。
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