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トルコなど第三国への再輸出防止が狙い、2025年末までの措置も視野
ウクライナ経済省は、鉄スクラップ輸出に対しゼロ輸出枠を設定する可能性を検討している。Ukrmetprom(ウクライナ金属生産者連盟)会長のオレクサンドル・カレンコフ氏がGMK Centerへのコメントで明らかにした。
この案は2025年末までの一時的措置として検討されており、ウクライナ議会経済政策委員会の3月28日の会合で正式に議論された。カレンコフ氏は、「鉄スクラップはグリーン・トランジションにおける製鉄業の戦略的原材料であり、EUでも輸出制限の方針が示されている」と述べた。
トルコ経由の再輸出による国家損失が背景に
ウクライナからEUへ輸出されたスクラップが、トルコやインドなどの第三国に再輸出されている現状を問題視。特にトルコは国内産業保護と優遇措置により競争優位性を持ち、ウクライナ経済には外貨収入や税収などの恩恵がもたらされていないと指摘されている。
2024年には約29.3万トンのスクラップが輸出され、前年(18.2万トン)比で60.7%増加。2023年には輸出量が2022年の5.4万トンの3.4倍に達していた。
さらに、1トン当たり180ユーロの既存の輸出関税を回避する動きが一部企業に見られ、結果としてウクライナ国家予算には20億フリブニャ以上の損失が出たという。
ウクライナ鉄道の廃資産スクラップ売却も進行
政府はウクライナ鉄道(UZ)の帳簿価値5億フリブニャ未満の資産売却手続きを簡素化。これにより、21.9万トンの鉄スクラップ(推定16億フリブニャ相当)と非鉄スクラップ3,800トン(推定2.3億フリブニャ相当)の売却が可能となる見込み。
経済省のタラス・カチカ副大臣も、「ゼロ枠はEUを経由してトルコ・インドへと向かう再輸出問題への体系的解決策が確立されるまでの暫定措置」と位置づけ、2025年末までの適用を検討中と明言した。
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