![]() |
世界銀行 |
世界銀行は4月29日に公表した最新の「商品市場見通し(Commodity Markets Outlook)」で、2026年までに世界のコモディティ価格が2020年以来の最低水準に落ち込むとの見通しを示した。世界経済の成長鈍化に加え、原油供給の潤沢さが重なり、今後2年間で商品価格はさらに下落する見込みだ。
具体的には、2025年に世界のコモディティ価格は前年比12%の下落、さらに2026年には5%の下落が予測されており、これは実質価格ベースで見ると2015~2019年の平均をも下回る。パンデミック後の反動やウクライナ戦争による価格高騰が一巡し、商品市場は新たな局面を迎えている。
中でもエネルギー価格の下落が顕著で、2025年にはブレント原油価格が平均64ドル/バレルと、2024年比で17ドル下落。2026年には60ドル/バレルにまで下がる見通しだ。石炭価格も2025年に27%、2026年に5%の下落が予測されている。
食料価格は2025年に7%、2026年に1%下がるとされ、急性食料不安の深刻化が懸念される一方で、人道支援には一定の追い風となる可能性がある。
一方、金価格は2025年に新記録を樹立した後、2026年には安定するとされ、地政学的リスクや政策不透明感の中で安全資産としての地位が強化されている。工業用金属価格は中国の不動産不況と貿易摩擦の影響で2025〜2026年にかけて下落が続く見通しだ。
世界銀行は、発展途上国の約3分の2が資源輸出国であることから、価格の乱高下はこれらの国々の財政と経済成長に深刻な打撃を与えると警鐘を鳴らしている。また、2020年代に入り、商品価格サイクルの変動周期が半減し、急騰・急落の激しさが過去50年間で最大となっていると指摘した。
世界銀行はこうした不安定な時代に対応するため、発展途上国には「財政規律の回復」「民間資本の呼び込み」「貿易自由化」の3つの改革を推奨している。
Tags
RAWMATERIAL