ブラジルの金属業界とCBAMの現状

CBAM


欧州CBAMの本格化でブラジル金属輸出が迎える岐路と転機

欧州連合(EU)の国境炭素調整措置(CBAM)は、もはや将来のリスクではなく現実の取引条件へと変化しました。 炭素排出量の算定能力や認証体制の欠如は、南米企業の商業的交渉力を直接削ぎ落とします。実際に、準備を怠った企業の多くが製品ごとの正確な排出データ追跡に苦慮しています。しかしながら、データ検証を完了した企業は欧州市場での新たな差別化要素を獲得し始めています。

アルミ業界と鉄鋼業界の間で、規制への適応状況と貿易流動には明確なコントラストが生じています。 ブラジル産アルミの対欧輸出は、2026年上半期に排出算定の手間や複雑さから一時的に縮小しました。しかし、中東情勢の緊張に伴う欧州プレミアムの上昇が、CBAM関連コストを上回る輸出機会を創出しました。一方で、ブラジル産スラブ(鋼半製品)の対欧輸出量は前年同期比で283.7%増と急増しました。これは、二酸化炭素排出量の少ないブラジルの鉄鋼供給源を欧州の事業者が選好したためです。

ブラジルの再生可能エネルギーという優位性は、適切な国際認証なしには機能しません。 独自のバイオエネルギー利用を強みとしても、EU規格に適合する検証システムがなければ炭素コストを軽減できません。その結果、国内における炭素市場(SBCE)の制度構築とサプライチェーン全体のデータ整備が急務となっています。加えて、今後の監査本格化や対象スコープ拡大を見据えた迅速な認証取得が、市場シェア維持の鍵を握ります。


金属フォーカス 編集部コメント

CBAMは単なる環境規制を超え、金属貿易における新たな参入障壁として機能し始めています。ブラジル企業が競争力を維持するには、低炭素な製造プロセスの構築だけでなく、国際基準に準拠したデータ検証体制の早期確立が不可欠です。今後は制度対応の遅れが直接的な市場シェア低下に直結するため、官民一体となったトレーサビリティ推進が強く求められます。

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