インドの中国鋼材輸入監視強化、追加規制検討へ 鉄鋼市場への影響を分析

Cut inflows of low-cost steel from China


インド中国鋼材輸入監視強化が、アジア鉄鋼市場の新たな焦点となっている。インド政府は、中国からの鋼材流入を中心に輸入動向を少なくとも今後2カ月間監視し、その後に追加的な輸入制限措置の必要性を判断する方針だ。

2025年5月、インドは再び鉄鋼製品の純輸入国となった。政府報告によると、同月の圧延鋼材輸入量は69万トンに達し、前年同月比で62.5%増加した。一方で、圧延鋼材輸出量は50万トンにとどまり、輸入量が輸出量を上回った。


中国鋼材流入拡大でインド国内メーカーが警戒

インドの中国鋼材輸入監視強化の背景には、中国製鋼材の急増がある。2025年4月の中国からインドへの圧延鋼材輸出は前年を大幅に上回り、少なくとも過去2年間で最高水準に達した。

インド政府は2024年12月、安価な中国製鋼材の流入を抑制するため、一部製品に対して3年間の輸入関税を導入した。しかしながら、輸入量の増加が続いていることから、国内鉄鋼メーカーは現行措置の効果に疑問を示している。

関係筋によると、当局は追加措置として反ダンピング関税を含む複数の選択肢を検討している。ただし、現時点で具体的な制度設計や導入時期は決定していない。


インド鉄鋼輸出は欧州需要を追い風に拡大

一方で、インドの鉄鋼輸出は堅調に推移している。2025/2026年度(2026年3月31日終了)の圧延鋼材輸出量は660万トンとなり、前年同期比36%増加した。

この伸びを支えた最大の要因は欧州市場の需要拡大である。2025年後半には、欧州連合(EU)の通商政策変更を見越した在庫積み増し需要が発生した。その結果、インドの鉄鋼メーカーは欧州市場向け出荷を大幅に増やした。

国別ではイタリアが最大の輸出先となった。続いてベトナムが主要市場として存在感を高めている。加えて、欧州向け輸出の拡大は、インド鉄鋼業界の国際競争力向上を示す動きとして注目される。

インドの中国鋼材輸入監視強化は、世界の鉄鋼サプライチェーンにも影響を与える可能性が高い。その結果、中国メーカーの輸出戦略やアジア域内の鋼材価格形成にも変化が生じる可能性がある。


金属フォーカス 編集部コメント

インドの中国鋼材輸入監視強化は、国内産業保護と市場安定化を両立できるかが焦点となる。今後、反ダンピング措置が導入されれば、中国鋼材の輸出先分散が進み、アジア全体の需給バランスに影響を及ぼす可能性がある。加えて、欧州向け輸出を拡大するインド鉄鋼メーカーの競争力向上は、世界鉄鋼貿易の構図変化を加速させるだろう。


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