英国鉄鋼輸入関税強化が波紋 鉄鋼構造業界が制度見直しを要請

U.K.'s steel quota cuts and tariff hikes


英国鉄鋼輸入関税強化が、国内の鉄鋼加工・建設業界で大きな懸念を呼んでいる。英国政府は国内鉄鋼メーカーの保護を目的に新たな輸入規制を導入する。しかし業界団体は、現行制度が雇用や競争力を損なう可能性を警告している。

2025年7月1日から、英国政府は一部鉄鋼製品の無関税輸入枠を大幅に削減する。加えて、輸入枠を超過した製品に対する関税率を25%から50%へ引き上げる。この措置は欧州連合(EU)、米国、カナダの保護政策と歩調を合わせる動きとして注目を集めている。


英国鉄鋼輸入関税強化が雇用と競争力を圧迫

英国建設鉄鋼協会(BCSA)は、英国鉄鋼輸入関税強化が市場の混乱を招くと指摘する。同協会によると、関税対象となる鋼材の多くは英国国内で十分な供給能力を持たない。

その結果、鉄鋼加工企業は高価格の輸入原材料を調達せざるを得ない。コスト上昇は企業収益を圧迫し、国際競争力の低下につながる可能性が高い。

さらに業界は制度上の問題も指摘する。現在の関税は未加工鋼材のみを対象とする。一方で、完成した鉄鋼構造物は無関税で輸入できる。この仕組みにより、建設業者は海外メーカーへ発注しやすくなる。現在、完成鋼構造物の輸入量は年間10万トンを超え、市場規模は5億ポンド以上に達している。


低炭素鋼需要と供給能力のミスマッチが課題

環境対応も重要な課題となっている。英国政府の公共事業では低炭素鋼の使用を求める。しかしながら、英国鉄鋼メーカーは現時点で必要量を十分に供給できない。

BCSAは、制度を見直さなければ最大3万人の雇用が失われる可能性があると試算する。また、多くの発注案件が海外市場へ流出するリスクも高まる。

同協会は政府に対し、国内で不足する鋼材の関税免除を求めている。加えて、完成鋼構造物に関する制度上の抜け穴を解消し、公共調達条件を国内製鉄所の供給能力に合わせて調整するよう要請している。

英国政府は現在、鉄鋼関税制度の改正を検討している。対象製品の拡大や例外措置の見直しも議論されている。英国鉄鋼輸入関税強化の影響は、鉄鋼サプライチェーン全体に及ぶ可能性があり、今後の政策判断に市場の注目が集まっている。


金属フォーカス 編集部コメント

英国鉄鋼輸入関税強化は国内製鉄業保護を目指す一方で、加工業界や建設業界への負担増加という課題を抱えている。今後、関税制度の柔軟な見直しが進まなければ、生産拠点の海外移転や雇用流出が加速する可能性がある。特に低炭素鋼需要の拡大を見据えた供給体制整備が、英国鉄鋼産業の競争力を左右する重要な要素となるだろう。

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