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| Nickel for EV batteries |
2025年に向け、EVバッテリー用ニッケルとコバルトの市場価値が急上昇しています。ニッケルは過去最高に次ぐ水準、コバルトは30か月ぶりの高値を記録しました。特に高ニッケルNCM電池の採用拡大が市場を牽引しています。
ニッケル市場の動向と要因
EV市場でニッケルが注目される理由は、高エネルギー密度の電池設計にあります。北米・欧州では、総ニッケル含有量70〜90%の高ニッケルNCM電池が主流です。2025年1〜10月の世界的なEVバッテリーへのニッケル投入量は前年比120%増の15ktに達しました。3か月ローリングベースでのニッケル支出は17億1,000万ドルに達し、過去最高水準の一歩手前となっています。
加えて、ニッケル硫酸塩の価格は2024年6月以来最高の1トン18,000ドル超を記録しました。これは中国のEVサプライチェーンにおける価格であり、過去3年間の平均価格を上回る水準です。リチウムを上回る投資が行われた四半期もあります。
コバルト市場の急騰と供給制約
コバルト市場では価格上昇が需要を後押ししています。コンゴ民主共和国(DRC)が年間87,000トンの基準量を設定する新たな輸出枠制度を開始しました。これにより、EV電池用途のコバルト需要が急増しています。中国市場では、コバルト硫酸塩の価格が年初比335%高の1トン11,932ドルとなりました。2025年1〜10月のEVバッテリー向けコバルト投入価値は44億ドルに達し、2024年の年間実績をすでに上回っています。
自動車メーカーはLFP電池の普及や高ニッケル電池への移行により、コバルト使用量を減らしていますが、市場価値の上昇は依然として続く見込みです。2026年・2027年に向けたDRCの枠制度や、米国政府によるコバルト備蓄開始も価格を支える要因となります。
地域別市場の成長
2025年前半、欧州市場は急速に拡大し、アジア太平洋市場を上回りました。欧州・中東・アフリカ地域のバッテリー導入量は前年比33%増の169.4GWhとなり、アジア太平洋の473.3GWh(+30%)を凌駕しています。一方、北米は前年比16%増の116.3GWhで伸びはやや鈍化しました。米国では、小売インセンティブ終了前にEV購入が前倒しされ、ニッケル・コバルト市場の追い風となりました。
金属フォーカス 編集部コメント
EVバッテリー用ニッケルとコバルト市場の急成長は、電気自動車の普及拡大と高ニッケル電池の需要増が背景です。価格上昇は供給制約や政策影響とも連動しており、今後数年は市場変動が続く見込みです。投資家やメーカーは、原料確保とリスク管理戦略が重要となるでしょう。


