| China's Rare Earth Export Control Measures |
中国政府は日本向けの重要鉱物輸出を制限し、高市早苗首相に対して対中外交での妥協を迫っています。今回の供給削減は日本の製造業者に打撃を与え、産業界からは北京との外交的解決を求める声が上がっています。中国側は今年に入りタングステンの一部の供給をほぼ停止し、先月の磁石用原料の輸出量も2025年5月以来の最低水準へ落ち込ませました。高市首相が昨年11月に台湾に関して発言した直後から、中国はこれら重要鉱物輸出の絞り込みを開始しています。
自動車・半導体産業を直撃する特定品目の供給ゼロ化
今回の輸出制限措置は米国を刺激しない範囲で日本へピンポイントの打撃を与える狙いが見え隠れします。実際に自動車工具向けのタングステン中間製品の対日輸出は1月にゼロとなり、現在も回復していません。さらに半導体製造装置などに用いるイットリウムの輸出量も前年実績のわずか1.13%に急減しました。加えて電気自動車(EV)用高性能磁石に不可欠なジスプロシウムとテルビウムの輸出も、今年に入り完全にストップしています。その結果、住友電気工業や三菱マテリアルなどの主要メーカーは備蓄の取り崩しや代替調達の確保に奔走しています。
脱中国依存への課題と日本企業の再生利用(リサイクル)戦略
日本政府はG7の合意に基づき、2030年までにレアアースの特定国への依存度を60%以下に抑える方針です。片山さつき財務大臣はリサイクル推進や価格下限の設定、貿易上の対抗措置などを検討中だと明かしました。一方で国内企業は自衛策としてスクラップの回収と再生利用の比率を大幅に引き上げています。例えば三菱マテリアルは現在リサイクル原料への依存度を約70%まで高めており、2030年までに100%の達成を目指します。しかし中流・下流工程を含めて世界のレアアース市場を支配する中国からの完全な脱却には依然として高いハードルが存在します。
金属フォーカス 編集部コメント
中国が経済的威圧の手段として重要鉱物輸出を戦略的に制限したことで、日本のサプライチェーンの脆弱性が再び浮き彫りとなりました。リサイクル技術の向上による代替戦略は一定の成果を上げていますが、先端半導体やEVなどのハイテク産業の成長を維持するには、短期的な供給ギャップの埋め合わせが不可欠です。高市政権は安全保障上の姿勢を堅持しつつも、産業界への致命的な打撃を避けるために、オーストラリアや中南米などとの多角的な供給網の構築を急ぐ必要があります。

