アメリカ、チタン生産能力の強化が急務—プロジェクトブルー創設者が警告

Titanium Sponge


現在、チタンは銅、金、リチウムのように注目されることは少ないものの、防衛や航空宇宙技術における重要性が今後さらに明白になる可能性があります。アメリカ、EU、カナダでは、チタンは防衛や航空宇宙、医療、産業技術に不可欠な重要鉱物とみなされています。そのため、供給チェーンのリスクが浮き彫りになる中で、アメリカはチタンの生産能力を急速に強化する必要があります。


チタンの需要と供給ギャップ

チタンは主に2つの異なる形態で使用されます。一つは、顔料用の二酸化チタン(TiO2)として、もう一つは航空宇宙用途の金属合金としてです。世界のチタン生産の90%以上が顔料として使用されており、このことが供給チェーンのギャップを生んでいます。イギリスの市場情報企業「プロジェクトブルー」はその報告書で、このギャップがいかに重要な問題であるかを指摘しています。

チタンは防衛産業において特に重要であり、F-15戦闘機の重量の最大40%はチタンで構成されています。したがって、チタンの供給不足がもたらす影響は、防衛産業だけでなく、航空宇宙産業全体に広がる可能性があります。


地政学的リスクと供給支配

プロジェクトブルーの分析によれば、チタンの供給は現在、ロシアと中国によって支配されつつあります。特に、ロシアは航空宇宙用チタンの最大供給国であり、中国は2025年までに世界のチタン金属市場の75%を占めると予測されています。このような状況では、中国がチタン輸出を制限することによって、ボーイングやエアバスの生産に重大な影響を与える可能性が高まります。

チタンの供給におけるリスクは、鉱物採掘だけでなく、航空宇宙グレードのチタンスポンジの製造能力や認証の問題にも関わっています。特に、チタンスポンジは純粋なチタン金属の初期形態であり、これを基に金属インゴットや粉末、合金が製造されます。現在、アメリカはチタンの鉱鉱採掘を行っていますが、その大部分は顔料市場向けであり、航空宇宙用途には対応できていません。


アメリカにおけるチタン供給能力の強化

アメリカは、チタンスポンジの製造能力を拡大し、航空宇宙および防衛分野の需要に対応するため、国内のチタン処理能力を急速に強化しています。特に、アメリカのティメット社はウェストバージニア州で新たなチタン溶解工場を建設中であり、これにより航空宇宙グレードのチタン供給が改善される見込みです。また、新たな企業「アメリカン・チタニウム・メタル(American Titanium Metal LLC)」は、ノースカロライナ州において航空宇宙グレードのチタンを処理するための新施設を2024年に設立する予定です。

これらのプロジェクトは、航空宇宙産業の回復とともに進行しており、特にボーイングやエアバスの需要に対応するため、チタンの需要が増加しています。また、NATO加盟国の防衛支出増加も、チタン需要の押し上げ要因となっています。


金属フォーカス 編集部コメント

アメリカがチタンの供給能力を強化することは、航空宇宙や防衛産業の安定的な成長にとって極めて重要です。特に、地政学的リスクが高まる中で、チタンの供給網がどのように整備されるかが、今後の産業競争力に直結します。アメリカが新たに投資を進めることで、供給チェーンの多様化が進み、持続可能な産業基盤が形成されることが期待されます。

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