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| EU Rare Earth Metals |
欧州は歴史的な再軍備計画を進める中、レアアース確保で苦戦しています。リチウムや希土類など重要鉱物の供給をめぐり、米国企業は迅速かつ攻めの姿勢で市場を先取りしています。欧州防衛産業は、中国依存からの脱却と自国調達の確保に課題を抱えています。
米国企業の迅速な調達と欧州の遅れ
欧州の防衛企業はレアアースの調達に時間を要する一方、米国企業はわずか数日で同量を確保します。ベルリン拠点の重要原材料トレーダー、Noble Elementsの財務責任者ティム・ボルクシュルテ氏は、「米国企業はスピードと資金力を駆使し、上流から部品サプライヤーまで供給を押さえている」と指摘します。
レアアースは先進的なセンサーや精密モーター、軍用ドローンや戦闘機、フリゲート艦などに不可欠です。欧州では在庫が数か月で枯渇する可能性もあり、部品メーカーは既に供給不足の影響を受け始めています。
欧州の政策と供給網整備の課題
欧州は2024年に**重要原材料法(Critical Raw Materials Act)**を施行し、RESourceEUイニシアチブで国内サプライチェーン強化を進めています。しかし、処理技術や精錬能力不足、規制上のハードルが依然として障壁です。ドイツのRheinmetall社は、週次で原材料ストレステストを実施し、在庫確保に注力していますが、中小企業は資金力不足で対応が困難です。
カナダとの潜在的な潜水艦契約では、採掘・精錬への投資を含め、欧州企業のレアアース確保戦略が具体化する見込みです。専門家は「欧州諸国は協調して、中国依存を減らすサプライチェーン構築が不可欠」と指摘しています。
金属フォーカス 編集部コメント
欧州防衛産業におけるレアアース確保は、地政学的安定と産業競争力に直結します。米国の積極的戦略が示すように、今後は迅速な調達能力と上流連携が欧州企業の競争力の鍵となります。中長期的には、欧州内精錬能力の整備が戦略的優位性を左右するでしょう。


