ラテンアメリカ、米国圧力で重要鉱物サプライチェーン構築を加速

Latin America Critical Minerals


ラテンアメリカ諸国は、米国の生産地近接政策の影響を受け、リチウムなど重要鉱物の供給チェーン構築を急速に進めています。ラテンアメリカ 重要鉱物の戦略的開発は、地域経済の付加価値向上と地政学的安定に直結しています。


ラテンアメリカでの精錬・加工能力の強化

インターアメリカ開発銀行(IDB)のイラン・ゴールドファイン総裁によれば、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、エクアドルなどの国々は、原料輸出から脱却し、国内での精錬・加工能力を強化しています。これにより、アジア依存からの脱却と自国経済の高度化を目指しています。EUとIDBの共同イニシアチブは、ラテンアメリカ・カリブ海地域の責任ある投資とバリューチェーン開発を支援し、総額約7,300万ドルの助成金が約1億4,000万ドルのIDB資金を呼び込む見込みです。


バリューチェーンと持続可能な採掘への取り組み

IDBは「Mining for the Energy Transition(MET)」プロジェクトを通じ、規制・投資環境の強化、地質データの整備、低炭素・持続可能な採掘支援、インフラ整備などを提供しています。アルゼンチンでは、リオ・ティント社のバッテリーグレードリチウム生産計画に対し1億ドルの融資を行い、下流加工まで含むバリューチェーン構築を後押ししています。これにより、アルゼンチンはリチウムの原料輸出から加工輸出へと戦略転換を図り、コスト競争力の向上を狙います。

ラテンアメリカは世界のリチウム埋蔵量の約60%、銅生産の約46%を占め、ブラジルはレアアース埋蔵量で世界第2位です。しかし、中国の低価格加工が長年、地域国の付加価値拡大を阻んできました。長期供給契約やグリーン水素プロジェクトなどの取り組みは、この課題解決に寄与しています。


金属フォーカス 編集部コメント

ラテンアメリカにおける重要鉱物の下流加工強化は、地域の経済自立と米中サプライチェーン競争への戦略的対応を促します。今後10年間で、付加価値型鉱物産業が投資・政策両面で重要な焦点になると予測されます。


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