UAEのIRH Trading、2030年までに銅取引量100万トンを目指す戦略

IRH Trading Copper


IRH Tradingが銅取引拡大でグローバル市場に挑戦

アブダビを拠点とするIRH Tradingは、2030年までに年間約100万トンの取引を目指しています。親会社であるInternational Resource Holding(IRH)はザンビアのMopani Copper Minesの支配株式を51%保有し、コンゴ民主共和国(DRC)のスズ鉱山運営会社Alphamin Resourcesも大株主です。IRH Tradingは、これら鉱山資産を活用しつつ、アフリカ、ラテンアメリカ、北米、アジアからの供給網構築にも注力しています。

IRH Tradingは銅に加え、アルミニウム、亜鉛、スズなどの非鉄金属や、鉄鋼、原油、液化天然ガス(LNG)といったコモディティの取引拡大も視野に入れています。一方で、リチウム資産への投資は計画せず、取引面でリチウムに「ロング」ポジションを取る戦略を採用しています。


アブダビ発の長期視点による銅取引拡大と競合との差別化

設立から約1年で50名規模のトレーダーチームを構築し、2025年には約15万トンの銅取引を達成、年末までに20万トンの取引を見込んでいます。Mercuria、Glencore、Gunvorといった大手トレーダーが支配する市場に挑む一方、既存大手とも連携しながら安定的な取引基盤を築く方針です。

IRH Tradingは長期的かつ忍耐強い資本配分を特徴とし、「一過性のトレンドではなく、採掘寿命を見据えた持続的な展開」を目指します。親会社IRHの鉱山投資を基盤に、アフリカを中心とした資産と取引網を段階的に拡大中です。


持続可能な成長を支えるインフラとパートナーシップ

IRH Tradingは、現地の電力供給や物流体制の強化にも積極的です。再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵を手掛ける子会社2PointZeroを通じて銅ベルト地域のインフラ整備を推進。タンザニアのダルエスサラーム港を運営するAD Portsとも連携し、金属の搬出入や燃料供給の効率化を図っています。

このような総合的なアプローチにより、IRH Tradingは2030年までに銅取引100万トン達成を目指し、アブダビを国際的なコモディティ取引ハブへと成長させる意欲を示しています。


金属フォーカス 編集部コメント

IRH Tradingの長期戦略は、鉱山投資と取引を一体化させた持続可能な成長モデルとして注目されます。特にアフリカ資源の活用は、地域経済の発展と供給安定化に寄与する可能性があります。今後、インフラ整備と国際連携がIRHの競争力を左右する重要な要素となるでしょう。


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