LMEウィーク:銅市場の強気派と弱気派の大きな対立

LME Copper


LMEウィークでは、銅市場に関して強気派と弱気派の間で大きな意見の対立が浮き彫りになりました。強気派は、鉱山の供給障害が価格を新たな最高値に押し上げると予測していますが、弱気派は需要の減退と市場の供給過剰を懸念しています。この二極化した見解は、今後の銅市場に大きな影響を与える可能性があります。


銅価格、最近の急上昇

LME銅価格は最近、急激な上昇を見せ、ついにはトンあたり11,000ドルを超える強気な動きを見せました。これは2022年5月に記録的な11,104.50ドルをつけた後、最も高い水準となります。強気派は、特に鉱山での供給障害が主な要因だとしています。インドネシアのガスバーグ鉱山やチリ、コンゴでの鉱山問題が価格上昇を後押しし、一部のアナリストは銅価格がさらに高騰し、3ヶ月以内に12,000ドルに達するとの予測を出しています。

一方、銅供給の問題が市場全体を押し上げるわけではないとの意見もあります。特にアメリカへの銅流入が一因となり、供給過剰の懸念が高まっています。マクアリーのアリス・フォックス氏は、アメリカ向けに今年600,000トンの銅が輸出されたことを指摘し、そのうち約3分の1はCOMEXに登録された倉庫に保管されていると述べています。このように、アメリカ国内での在庫増加が短期的に輸入需要を抑制している可能性があります。


需要減退と高価格によるリスク

さらに、BNPパリバのデビッド・ウィルソン氏は、高値の銅が投機筋によって押し上げられており、実際の産業用需要が減退するリスクがあると警鐘を鳴らしています。特に、世界最大の銅消費国である中国では、金属価格の高騰が実需の減少を招く恐れがあります。ウィルソン氏は「投資家は銅市場の価格を上げるかもしれないが、最終的に実際の消費者が購買を手控える」と予測しています。

また、アメリカでの関税の影響も今後の銅需要に重要な影響を与えるとされています。2026年には、アメリカの消費者が直面する関税の影響が顕在化し、銅需要が減少する可能性が高いとの予測があり、これが価格にどのように反映されるか注目されています。


金属フォーカス 編集部コメント

銅市場の見通しは依然として不透明であり、供給障害や需要の変動、さらには政策的な要因が絡み合っています。特に、アメリカでの関税や中国での需要動向は、2026年以降の銅市場に深刻な影響を与える可能性があります。投資家やメーカーは、これらの変動要因を慎重に見守りながら、戦略を練る必要があります。

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