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Stegra Green Steel |
スウェーデンのスタートアップ企業Stegra(旧H2 Green Steel)は、世界初の大規模グリーンスチール工場建設のため、約9億7500万ユーロ(約110億ドル)の追加資金調達を発表しました。今回の資金は、同社がボーデンに建設する工場のインフラ整備や、資材・建設コストの上昇対応、財務の安定化を目的としています。Stegraは、再生可能エネルギー由来の水素を現地で生産し、これを用いた製鉄プロセスにより、脱炭素化を実現します。
StegraのCEOヘンリック・ヘンリクソン氏は、「強力な受注と競争力のあるコスト構造、確かなプロジェクト遂行力により、当社のビジネスモデルの有効性が裏付けられている」と語りました。今回の調達は総予算の約15%を占め、株式・債務・アウトソーシング・戦略的パートナーシップを組み合わせた多様な手法で行われます。Stegraは、鉄道や港湾施設のインフラを外部に依存せず自社で設計・建設・所有することで、スケジュール管理を強化します。
欧州の大手製鉄企業は、グリーンスチール転換計画の延期や中断が相次ぐ中、Stegraは代替資金確保に動き、気候関連助成金の一部が得られなかったものの、独自路線を維持しています。例えば、ドイツのSalzgitterやArcelorMittalは欧州での大規模グリーンスチール投資を相次いで延期する一方、SHSグループは約17億ユーロの資金調達に成功しています。
金属フォーカス 編集部コメント
Stegraの資金調達は、グリーンスチールの大規模商用化に向けた重要なマイルストーンです。欧州の政治・市場環境が厳しい中、自社主導でインフラを整備する戦略は他社との差別化要素となります。今後、脱炭素鋼材の供給拡大が世界的な産業構造の転換を加速させる可能性があります。
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