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India Steel |
インドの小規模製鋼業者は、建設業界を中心とした需要の低迷と在庫増加、鋼材価格の下落により生産削減を余儀なくされています。政府が消費税の大幅減税を実施し経済刺激を図る一方で、これら企業は依然として厳しい状況に直面しています。
9月にインド政府は、小型車やセメントなど消費財への税率を大幅に引き下げました。これらは鋼材需要に大きな影響を与えるセクターです。しかしながら、小規模製鋼業者は国内総生産能力の約45%を占めるにも関わらず、生産量を3分の1に削減しました。これは、建設活動の低迷と自動車業界の消費回復遅延が主因とされています。
建設業界は、7月から始まった激しいモンスーンによる活動停滞に加え、原材料費と電力コストの上昇が負担となっています。2025年9月の国内の熱延鋼板価格は、6カ月ぶりの安値であるトン当たり553.5ドルにまで下落しました。業界関係者は、状況が改善するのは12月以降になると見込んでいます。また、米国向けの関税も関連産業に悪影響を及ぼしています。
昨年と比べて状況は大きく異なります。過去には、中国、日本、韓国からの金属製品輸入が増加し、政府は2025年4月に安価な輸入品抑制のため一時関税を導入しました。一方、2025年4月から8月の5カ月間でインドの鋼材輸出は前年同期比22%増の320万トンに達し、特に熱延コイル・シートの輸出は12%増の67万トンとなっています。
金属フォーカス 編集部コメント
インドの小規模製鋼業者の生産削減は、国内建設・自動車市場の回復遅延を示しています。価格低迷とコスト高が経営圧迫要因となる中、輸出増加は外需依存の強まりを示唆します。今後の税制政策や米国関税の動向が業界回復の鍵となるでしょう。
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