ブラジルの製鋼用被覆鋼材クォータが上限に迫る:2025年輸入動向と政策影響

Import quota of cladding steel


ブラジル被覆鋼材輸入クォータは、2025年10月8日時点で293,200トン中79%が既に消費されました。外国貿易局(Secex)の報告によると、10月初旬には輸入量が急増し、クォータ期間の終了が迫るなか、国内需要を満たすための動きが活発化しています。今回の分析では、ブラジルの被覆鋼材輸入クォータの現状と政策的背景、及び今後の鋼材市場への影響を考察します。


被覆鋼材クォータの現状と市場動向

被覆鋼材のクォータ制度は、ブラジル政府が2024年6月に導入し、2026年5月まで延長されました。現在、19種類の鋼材製品がクォータの対象で、497,130トンまでの輸入に対して低関税(10%)が適用されます。しかし、クォータ上限を超える輸入には関税が25%に引き上げられ、輸入コストが大幅に増加します。

2025年10月1日から8日までの間に、被覆鋼材の輸入量は27,900トンに達しました。特に、亜鉛メッキ鋼(ガルバナイズド)とガルバリューム鋼がクォータ上限に近づいており、これは国内供給の不足を補い、建設業界の安定した需要に応えるためとみられます。小規模消費者向けの輸入許可は既に今期の最初の3週間で枯渇しています。


影響と今後の展望

ブラジルの被覆鋼材クォータ制度は、急増する鋼材輸入の制御を目的としていますが、2025年は依然として輸入が記録的に増加する見込みです。業界団体のInstituto Aço Brasilによれば、2025年のロール鋼輸入量は630万トンに達し、前年から32%の伸びを見せる見込みです。

クォータ制度は輸入業者に対し、四半期ごとの制限を設けることで国内市場の安定化を図りますが、供給不足と需要の強さが相まって輸入が加速しています。今後は、クォータ上限突破時の高関税が市場価格に影響を与え、国内鋼材産業の競争力に重要な役割を果たすでしょう。


金属フォーカス 編集部コメント

ブラジルの被覆鋼材輸入クォータの逼迫は、国内産業保護と輸入依存のバランスを問う重要な局面です。政策の継続的な見直しと市場動向の詳細分析が必要であり、グローバルな鋼材需給におけるブラジルの役割も注目されます。

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