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| ステンレス鋼板 |
欧州のステンレス鋼板市場が深刻な低迷局面に突入している。受注はバリューチェーン全体で弱含み、コイル価格は継続的に下落していると、欧州鋼材業界関係者が明らかにした。
Kallanishによれば、欧州ミルは6〜7月納期分の価格を引き下げており、コールドロールドコイル(CRC)は前回高値から100€/t超下落。現行の北欧域内価格は2,350〜2,400€/t(配送込)で推移し、注文量や顧客により異なる。
需要を上回る供給に加え、7月までにアジアからの大量流入が予測され、在庫過多と国内調達縮小につながる懸念が高まっている。
一方、複数のサービスセンターやミル関係者は、「夏以降に欧州在庫が減少し、調達先が域内ミルに回帰する可能性」を見ており、回復の兆しは第4四半期とする声も出ている。
ただし、現時点ではサービスセンターは低ボリュームの取引で市場リスクを最小限に抑えており、シート価格の引き上げも困難な状況。一部では「黒字なら成功」と語られるほどの厳しい経営環境で、コスト構造に対して現在の価格水準は赤字を招くとされている。
アジアのCRC価格(関税込み)は2,100〜2,120€/tと欧州より著しく低く、さらに約100€/tの物流・港湾費用が加わる。それでも価格差は大きく、欧州企業は苦境にある。
CBAM(炭素国境調整メカニズム)の導入も市場の不透明性を高めており、特にサービスセンターは製品別の価格提示が困難となっている。あるコイルバイヤーは「輸入市場からの調達を停止する」とコメントしており、年内は赤字回避が目標という厳しい現実が続く。
金利の引き下げ予測は経済全体への追い風となる可能性もあるが、2025年の需要見通しは依然として弱気。各社は価格競争で受注を争っており、「値下げで需要は生まれない」との声も根強い。
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