リオ・ティントとBHPの銅鉱山計画、アパッチ族の聖地問題で米連邦判事が5月14日までに判断へ


アリゾナ州オークフラット銅鉱床を巡る宗教的権利と重要鉱物供給の攻防が佳境

米国アリゾナ州でリオ・ティントとBHPが進めるリゾリューション銅鉱山プロジェクトが、先住民族アパッチ族の聖地オークフラットを巡る法廷闘争の中で再び注目を集めている。米連邦判事スティーブン・ローガン氏は、5月14日までに土地譲渡を一時差し止めるかどうかの判断を下すと述べた。

問題の中心は、4,000万ポンド超の銅資源が埋蔵される連邦所有地「オークフラット・キャンプ場」。この地はサンカルロス・アパッチ族が神を崇拝する聖地であり、開発されれば直径3km、深さ304mの巨大クレーターが形成され、聖域は徐々に失われる。

リオ・ティントは、同鉱山が米国のエネルギー転換、インフラ需要、安全保障に不可欠だと主張する一方、アパッチ族側は「最高裁が審議中の今、譲渡を保留にすべきだ」と訴えている。

米最高裁の動向とトランプ政権の再始動で情勢が不透明に

リゾリューション銅鉱山は、リオ・ティントが55%、BHPが45%を保有し、開発が実現すれば電気自動車や電子機器向け銅の国内供給が大幅に強化される見通しだ。特に中国による重要鉱物支配が懸念される中、米国内での安定供給源として期待されている。

だが、2021年に土地譲渡を認めたローガン判事の判断に対し、**アパッチ・ストロングホールド(先住民支援団体)**は再び差し止めを求めており、最高裁は13回にわたり審議継続を通知するなど、異例の長期検討に入っている。

さらに、ドナルド・トランプ前大統領は2025年4月に土地譲渡プロセスを再始動。6月16日までの完了を目指しており、バイデン政権が一時停止した動きが覆される可能性もある。

米司法省はバイデン、トランプ両政権下で同プロジェクトへの支持を継続しており、今回の審問では「2021年判決を覆す根拠はない」と主張。一方、アパッチ側は「判決が確定するまで一時的に保留するだけで良い」と訴えた。

なお、リオ・ティント幹部は、既存施設の維持費用が月額1,100万ドルに達すると説明し、開発の遅延による経済的負担も強調した。

今後の判決と最高裁の対応は、米国における重要鉱物供給の将来と先住民族の宗教的権利の均衡に大きな影響を及ぼすだろう。

コメントを投稿