![]() |
| Lynas rare earths |
オーストラリアのLynas Rare Earthsは、2023年10月に、マレーシアに新たな重希土類(レアアース)精製施設を建設する計画を発表しました。投資額は約1億8,000万豪ドル(約116.96百万米ドル)で、主に中国以外から供給される酸化物の市場需要に応えることを目的としています。この施設は、年間5,000トンの重希土類鉱鉱の精製能力を持ち、Lynasは世界最大の中国以外のレアアース生産者としての地位をさらに強化します。
新施設の目的と規模
Lynasの新しい施設は、オーストラリアの西オーストラリア州にあるMt Weld鉱山をはじめとする供給源から供給される重希土類鉱鉱を精製するためのものです。重希土類は、電気自動車(EV)、再生可能エネルギー、電子機器などの高技術産業において欠かせない原料であり、その需要は急速に拡大しています。特に、中国依存から脱却しようとする企業や政府の意向を受けて、非中国産の供給源は極めて重要です。
施設の建設には規制当局の承認が必要ですが、Lynasはすでに複数のオフテイクパートナーと交渉を行い、確実な製品供給契約を結ぶ準備を進めています。新施設は、同社の市場シェアを拡大し、今後の供給安定性に寄与することが期待されています。
市場需要とLynasの戦略
近年、世界的にレアアースの供給に対する不安が高まっており、特に中国が主要供給国であるため、各国は供給チェーンの多様化を進めています。この背景には、経済的な依存度を低減させることが目的とされています。Lynasはそのような市場の動向を見越し、早期にマレーシアでの施設拡張を決定しました。新しい施設の稼働によって、Lynasは今後も安定した供給を維持し、世界のレアアース市場における競争力をさらに高めることになるでしょう。
Lynasの強みは、既に数十年にわたる鉱鉱採掘と精製技術の実績に裏打ちされた信頼性にあります。今後、同社はこの新施設を活用して、さらなる市場拡大を目指します。
金属フォーカス 編集部コメント
Lynasのマレーシア新施設計画は、レアアース市場の供給安定性を大きく向上させるとともに、中国依存からの脱却を進めるための重要なステップです。今後、この施設が稼働すれば、世界各国の政策にも影響を与え、レアアース市場の地政学的なバランスに新たな局面を迎えることが予想されます。


