アンドラダ・マイニング、タンタル生産が2倍に拡大【金属フォーカス】

Andrada Tantalum

ナミビアの戦略鉱物供給強化へ、リチウムやスズとの連携も進展

ナミビアのアンドラダ・マイニング(Andrada Mining)は、2024/25年度のタンタル精鉱生産量が前年比100%増の50.6トンに達したと発表した。含有タンタル量は5.4トンに達し、既存精鉱の再処理による回収率向上(4.5%)が寄与した。同社の主力鉱山であるウイス鉱山(Uis Mine)での抽出技術の成熟が、戦略金属供給の強化につながった格好だ。

一方で、アフリメット(AfriMet)との12カ月の供給契約は満了となり、現在は新たな長期オフテイク契約の選定を進行中である。

リチウムとスズ事業でも国際展開を加速

スズ精鉱生産量も前年比2.2%増の1,507トンと堅調に推移。また、パイロット規模のリチウム施設では128トンのペタライト(電池用鉱石)を生産し、バッテリー向けサプライチェーンへの足場を固めている。

今年2月には日本向けに初のリチウムバルクサンプルを出荷し、グローバル市場での製品認証活動が本格化。また同月、南米のリチウム大手SQMとの戦略的パートナーシップに関し、ナミビア競争委員会から承認を取得。両社はリッジ鉱区(Ridge Asset)での共同開発を推進する。ここではリチウムを中心に、スズやタンタルも共存するペグマタイト鉱床が確認されている。

金属フォーカス編集部コメント

アンドラダのタンタル生産拡大は、サプライチェーンの分散と安定化が求められる中で、ナミビアの存在感を高める材料となる。リチウムやスズとのマルチメタル戦略が奏功すれば、同国はアフリカの中でも注目度の高い戦略鉱物供給国に浮上する可能性がある。今後のオフテイク契約の動向と、SQMとの連携深化による資金・技術導入が鍵を握るだろう。

コメントを投稿