米国、東南アジア3カ国製ステンレス圧力配管へのAD措置維持を決定【金属フォーカス】

ステンレス

マレーシア・タイ・ベトナム製品に引き続き最大167%の反ダンピング関税

米商務省(USDOC)および米国際貿易委員会(USITC)は、2025年5月28日付の最終決定で、マレーシア、タイ、ベトナムからの溶接ステンレス鋼圧力配管(WSSPP)に対する反ダンピング(AD)関税措置を維持すると発表した。

今回の決定は、AD措置を終了した場合、不当廉売の継続または再発、および米国産業への実質的損害が生じる可能性が高いと判断されたことによるものである。

現在の加重平均ダンピングマージン(税率)は、マレーシア167.11%、タイ24.01%、ベトナム16.25%と高水準に設定されている。

対象品目は複数のHTSUSコードに該当

対象となる製品は、HTSUS(米国統一関税スケジュール)コードで主に7306.40.5005、5040、5062、5064、5085に分類され、その他にも7306.40.1010、1015、5042、5044、5080、5090に該当する可能性がある。

これらの配管は、主に石油・ガス、化学、食品加工、エネルギー分野などで使用されており、米国市場においては国内メーカーの需要保護が引き続き優先されることになる。

【金属フォーカス編集部コメント】

米国の対アジア製ステンレス配管に対する強硬姿勢は、米国内製造業の保護主義的傾向の再強化を示唆している。特に高水準のAD関税は、アジア製品の米国市場参入を事実上困難にし、国内サプライチェーンの再構築圧力を高める要因となる。一方、関税負担の増大は米国内ユーザーにとってコスト上昇を招くリスクも内包しており、今後のインフラ需要拡大やエネルギー投資とのバランスが課題となるだろう。

コメントを投稿