ディベロップ社、硫黄泉プロジェクトで初期作業開始 改訂DFSへ弾み【金属フォーカス】

Develop Global

WA州の亜鉛・銅鉱山開発、ウッドローン方式でリスク軽減と生産性向上狙う

ASX上場のディベロップ・グローバル(Develop Global)社は、西オーストラリア州ピルバラ地域で推進中の硫黄泉(Sulphur Springs)プロジェクトにおいて、改訂版確定的FS(DFS)に先駆けて初期開発作業を開始したと発表した。作業には坑内斜坑(ボックスカット)の掘削や、処理施設および関連インフラの用地造成が含まれる。

同社のビル・ビーメント(Bill Beament)社長は、「硫黄泉は極めて高収益なプロジェクトで、初期段階での地下インフラ整備により、リスク低減と鉱山寿命の延長、生産性の向上が見込める」と述べた。この手法は同社がNSW州で手掛けるウッドローン鉱山での成功事例に基づくものだという。

斜坑掘削・地下開発で生産性20%向上も視野に

現在進行中の作業には、地質条件を把握するためのボックスカット掘削、Develop Mining Servicesによる地下設備の設置準備などが含まれており、斜坑掘削は2024年9月期に完了予定。その後、12月期には双斜坑や地下坑道(350m深)の掘削が開始される見通しだ。

この段階的アプローチにより、鉱石希釈の抑制や地下資源の拡張掘削が可能となり、鉱石生産量は20%の改善が期待されている。こうした成果は2025年末までに発表される新たなDFSに反映される。

硫黄泉プロジェクトは、鉱石資源量1,740万トン(亜鉛5.8%、銅1.0%、銀21g/t)、うち埋蔵量880万トン(亜鉛5.4%、銅1.1%)を誇り、すでにすべての許認可を取得済み。

金属価格上昇・精錬費低下を織り込み、新たな経済性試算へ

2023年6月に発表されたDFSでは、年産125万トン規模で銅換算3万トン/年の生産を想定し、税引前NPV5億2,300万豪ドル、累計フリーキャッシュフロー7億4,500万豪ドルと評価されていた。

その後、銅・亜鉛価格の上昇および精錬費(TC/RC)の低下が進んでおり、これらを織り込んだ形で新たな経済性評価モデルを構築している。また、未評価のKangaroo Caves鉱床や硫黄泉露天掘りの活用、さらにはプラント処理能力の増強も検討している。

最終投資決定(FID)は改訂DFSの完了後に下される予定。

【金属フォーカス編集部コメント】

Develop社が採用する前倒し型地下開発戦略は、豪州の中堅鉱山会社が資金調達力とプロジェクト透明性を強化する新たな標準モデルとなる可能性がある。特に、銅・亜鉛価格の強含みと低精錬費の追い風を受け、DFS改訂時には経済性が一段と改善される見通しだ。一方、同社のように複数プロジェクトを並行開発するケースでは、人材・機材の確保や資金繰りの柔軟性が今後の成否を左右する。

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