ゼリオン、コバルト精製で画期的技術を開発-オハイオ州でパイロット生産開始

ゼリオン

直接電解法による高純度コバルト精製に成功

次世代バッテリー材料と重要鉱物を開発・製造するゼリオン・アドバンスト・バッテリー(Xerion Advanced Battery Corp.)はこのほど、コバルト精製における画期的な技術革新と、オハイオ州デイトン工場におけるパイロットスケール生産ラインの立ち上げを発表しました。

ゼリオンの独自技術DirectPlate™ 溶融塩電解(Molten Salt Electrolysis, MSE)は、バッテリー部材の精製と合成を目的に開発されたもので、コバルト精製に単一工程・連続式プロセスを導入し、従来法に比べてコストと工程の大幅削減を実現します。

この手法では、従来のような複数工場や複雑な処理工程を必要とせず、粗製コバルト水酸化物を高純度コバルト金属に直接変換。ラボ環境では純度99%以上、収率98%以上を達成し、100キログラム超の生産にも成功しました。

CEO兼共同創業者のジョン・バスビー博士は
「我々の技術は単なる改良ではなく、重要鉱物生産の在り方そのものを再構築するものだ」と述べ、国内バッテリー素材供給網確立への貢献を強調しました。

米国の重要鉱物自給体制を強化

コバルトをはじめとする重要鉱物は米国経済と安全保障に不可欠ですが、米国には現在コバルト精製能力が存在せず、**中国が世界精製能力の72%**を占める状況です(IEA調べ)。
さらに、世界のコバルト需要は2024年の24万トンから2050年には41万~52万トンに拡大すると予測されており、ゼリオンの技術はこの需給構造変化に対応する鍵を握ります。

ゼリオンのデイトン施設では、年産5トン規模のパイロット生産が開始されており、将来の商業規模拡張に向けた最適化作業が進められています。

米国が外国産鉱物への依存度低減を急ぐ中、ゼリオンの取り組みはタイムリーな技術革新と位置づけられています。

環境負荷を大幅に低減、商業展開にも優位性
ゼリオンのDirectPlate™ MSEプロセスは、経済性・供給網強化に加えて、環境面でも従来法に比べて大きな利点を持ちます。
  • 低温プロセスにより電力消費を大幅削減
  • 無機溶媒不使用で排出負荷を低減
  • クローズドループ式洗浄システムで水使用量を削減
  • 許認可リスクを最小化し、商業施設展開を加速
ゼリオンは、10年以上にわたり独自のリチウムイオン電池技術の開発も進めており、
DirectPlate™(精製・成膜技術)とStructurePore™(新規電極構造)という2つの特許技術を核に、従来比コスト40%削減・高エネルギー密度・長寿命・安全性向上を実現するバッテリー製造を目指しています。

コメントを投稿