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コークス炭 |
脱コークス炭輸入依存とDRI製鋼ルートの活用を強調
インドのナレンドラ・モディ首相は4月24日、バーチャル形式で開催された「India Steel 2025」会議で国内鉄鋼業界に向け、コークス用原料炭の輸入依存から脱却し、代替手段を模索するよう強く要請した。
モディ首相は「原料の安定供給は鉄鋼産業にとって重大な課題だ」と述べ、輸入原料炭がコストや経済に与える影響を強調。その上で、直接還元鉄(DRI)製鋼ルートや石炭ガス化といった国内資源をより有効活用できる技術への転換を提唱した。
輸入依存の低減に向け新技術と国際連携が鍵
インドは質の高い原料炭が国内に乏しく、現在は主にブレンド用として一部利用している状況にある。このため、モディ首相は「ニッケルやマンガンなど他の輸入依存鉱物への対応も必要」と指摘。グローバル・パートナーシップの強化や供給網の確保、技術革新の加速を通じた持続可能な成長体制の確立が急務だと訴えた。
また、インド鉄鋼業の長期的目標として「輸入ゼロと純輸出国への転換」を掲げ、「新しいプロセス、新しい鋼種、新しいスケールへの対応」が不可欠だとした。インドは2047年までに粗鋼生産能力5億トンの達成を目指している。
政府プロジェクトで国産鋼材を義務化、インフラ投資が成長を牽引
モディ首相は、「1人あたりの鋼材消費量は現在約98kgで、2030年には160kgに達する見込み」とし、経済成長と都市インフラ整備が消費拡大を後押ししていると強調。加えて、「政府関連プロジェクトでは国産鋼材の使用を義務化」しており、建設分野を中心とする鋼材需要を国内産業に還元する構えだ。
さらに、国家インフラパイプライン(1.3兆ドル)、Gati Shaktiマスタープラン、Pradhan Mantri Awas Yojana(住宅供給計画)、Jal Jeevan Mission(水供給事業)など、政府主導の大型インフラ政策が今後も鉄鋼産業の成長を支えるとした。
最後に、モディ首相は新規鉱山開発の迅速化を訴え、「鉱区や国家資源の有効活用を遅らせることは国益と産業に悪影響を及ぼす」と警鐘を鳴らした。
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STEEL