5月世界鉄鋼生産が前月比2.8%増、新興国躍進で需要構造に変調か

Global steel production


世界鉄鋼協会(ワールドスチール)が発表した主要70カ国の2026年5月世界鉄鋼生産量は、前月比2.8%増の1億5,790万トンとなりました。この数値は前月比で450万トンの増産を意味し、世界的な需要の回復傾向を示しています。しかしながら、前年同月比では約1%の微減となっており、全面的な市場回復には至っていません。


中国の減産傾向と台頭するベトナム

世界最大の生産国である中国は、前月比で80万トン増産したものの、前年同月比では3.9%減少しました。一方で、ベトナムが前年同月比26.8%増という驚異的な伸びを記録し、イランに代わってトップ10に定着する勢いを見せています。加えて、インドが7.8%増、米国が6.8%増、ドイツが8.8%増と、主要国の多くが前年実績を上回りました。その結果、ロシア(10%減)や日本(0.7%減)の低迷を他国が補う構図となっています。


鉄スクラップ市場への影響

米国での鉄鋼増産や主要輸出先であるトルコ、インド、ベトナムの活況にもかかわらず、米国の再生鋼材(鉄スクラップ)価格は横ばいで推移しています。これは供給網の安定や、各国の製鉄手法のバランスが影響している可能性を示唆しています。今後の世界鉄鋼生産の動向を占う上で、これら新興国のマテリアル消費動向から目が離せません。


金属フォーカス 編集部コメント

今回のデータは、世界の鉄鋼サプライチェーンが中国一強からインドやベトナムなどの新興成長国へ確実にシフトしている現状を裏付けています。特にベトナムの急成長は、東南アジアにおける産業用マテリアル需要の旺盛さを示しており、今後は鉄スクラップなどの原料調達競争が世界規模で激化する見通しです。投資家やメーカーは、これら新興国の生産能力拡大と価格形成への影響を注視すべきでしょう。


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