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| ArcelorMittal France EAF Project |
ルクセンブルク本拠のアルセロール・ミッタルは、フランス・ダンケルクに年間200万トン規模の電気アーク炉(EAF)製鋼ラインを建設する計画を進めています。同社はフランスのエマニュエル・マクロン大統領をはじめ関係当局者を招き、計画地を視察してもらいました。総投資額は13億ユーロ(約15.5億ドル)で、フランスにおける製鉄資産の脱炭素化の重要な一歩と位置付けられています。
フランスEAF建設の背景と経緯
2024年末、アルセロール・ミッタルは高炉・転炉(BOF)をEAF技術へ置き換える投資計画の一時停止を発表していました。これは再生鋼材と直接還元鉄(DRI)を活用するEAF導入を目指すものでしたが、当時の欧州の政策・エネルギー・市場環境は必ずしも有利ではありませんでした。同社は「グリーン水素は実用燃料としての進展が非常に遅く、天然ガスベースのDRI生産もまだ競争力がない」と指摘していました。
しかし、2025年5月にアルセロール・ミッタルはプロジェクトへのコミットメントを再表明し、フランス政府との緊密な連携を強調しました。2026年初頭にはマクロン大統領と複数の閣僚を迎え、EAF転換プロセスの節目を祝いました。EAFの稼働開始は2029年を予定しています。
欧州市場と政策支援の重要性
アルセロール・ミッタルは欧州委員会による鉄鋼輸入の監視強化や、炭素国境調整措置(CBAM)の運用改善を評価しています。同社ヨーロッパCEOのギート・ファン・ポールフォルデ氏は「EU内での不公正な輸入を抑制する新しい関税枠組みとCBAMにより、欧州製鋼業者に公平な競争環境が整った」と述べました。CEOアディティヤ・ミッタル氏も「フランス政府の早期支援と市場防衛策の推進は、欧州全体の製鉄業に恩恵をもたらす」と語っています。
アルセロール・ミッタルは世界60カ国で製鋼・鉄鉱事業を展開しており、14カ国で製鋼事業を運営しています。今回のダンケルクEAF建設は、低炭素排出鋼材を大規模に生産する条件が整ったことを受けた決定です。
金属フォーカス 編集部コメント
アルセロール・ミッタルのダンケルクEAFプロジェクトは、欧州製鋼業の脱炭素化を象徴する重要事例です。CBAMや関税枠組みを活用した政策支援が、欧州市場の競争力維持と再生鋼材普及の鍵となります。今後、欧州の低炭素鋼市場の成長に直結する注目プロジェクトです。


