サルツギターAG、ドイツ防衛用鋼材市場で地位強化──ティロルフ&ウーレ社を買収

Salzgitter AG defense steel


ドイツの大手鉄鋼メーカーサルツギターAG(Salzgitter AG)は、防衛用鋼材市場での競争力強化を目的に、長年の鋼材加工実績を持つティロルフ&ウーレ社(Thyrolf & Uhle GmbH を買収しました。本件は、ドイツおよびヨーロッパにおける地政学的変化を背景とした防衛・インフラ分野での成長戦略の一環です。


防衛用特殊鋼分野での専門性拡大

ティロルフ&ウーレ社は1859年創業、デサウ=ロスラウに拠点を置き、鋼材加工・部品製造板金加工を専門としています。従業員約100名で年間12,000トン以上の鋼材を処理可能です。同社は弾道防護用部品やインフラ施設向け鋼材を製造し、SECURE 400、450、500、600などの特殊鋼を供給しています。

今回の買収により、サルツギターAGは防衛部門での専門知識を拡張し、TL-2350-0000に基づく防護鋼部品加工認証や、DIN 2303 Q3 BK規格認定を活かしたインフラ保護製品や特殊装備の製造能力を強化します。


地政学的リスクを踏まえた成長市場戦略

CEOのグンナー・グレーブラー氏は「この買収は、成長市場への戦略的投資の一環であり、ドイツとヨーロッパには強力な防衛産業と信頼できる素材基盤が必要です」とコメントしています。加えて、サルツギターはHKM(Hüttenwerke-Krupp Mannesmann)合弁の共同所有者から自社単独所有への移行も計画しており、2026年中頃には100%の支配権取得を目指しています。

今回の買収は規制当局の承認を前提としており、財務条件は非公開です。しかし、サルツギターAGの防衛用鋼材市場での地位強化という目的は明確です。今後、ヨーロッパにおける防衛関連インフラの需要増加に対応し、特殊鋼生産能力と技術力の統合が進むことが予想されます。


金属フォーカス 編集部コメント

今回の買収により、サルツギターAGは防衛用鋼材の安定供給体制を構築し、ヨーロッパ市場での影響力を拡大しました。今後は地政学的リスクに対応した高度な特殊鋼需要への対応が、業界全体の成長動向に直結すると考えられます。

コメントを投稿