![]() |
| Global Copper Market |
世界の銅市場は、米国向けの輸出急増により再び供給不足のリスクに直面しています。メルクリア・エナジー・グループの金属部門責任者コスタス・ビンタス氏は、「この上昇は本物」と述べ、銅価格がさらに高騰する可能性を示唆しました。現在の動きは、ニューヨークのComex取引所での高プレミアムに牽引され、世界的な在庫を圧迫しています。
米国向け銅輸出が生む二極化市場
米国向けの銅輸出は、トランプ政権下での関税問題を契機に再び活発化しました。ビンタス氏は、米国市場向けの有利なアービトラージ取引が継続すると、世界の銅精錬在庫が枯渇すると警告しています。LME(ロンドン金属取引所)での銅価格は史上最高水準に達しており、米国向け輸出増加によりさらなる価格上昇圧力がかかる構図です。加えて、中国やアジア市場ではプレミアム価格の高騰が一部で観測されており、供給の二極化が進んでいます。
この市場動向は、世界の主要生産国であるチリやペルーからの輸出量にも影響を及ぼしています。チリ国営銅企業コデルコは、韓国や中国向けの銅に対して通常より300ドル以上高いプレミアムを設定しており、アジア市場でも価格競争が激化しています。銅市場の構造変化は、投資家や製造業者にとって戦略的リスクを高める要因です。
今後の価格動向と業界への影響
メルクリアは、中国の銅需要成長率が1%未満にとどまる見通しである一方、米国向け取引の活発化により需給バランスが急速に逼迫すると予測しています。ビンタス氏は、LME・SHFE(上海先物取引所)の価格差が解消される過程で、銅価格はさらに高値を更新すると見込むと述べました。鉱山の生産障害や在庫不足は、銅精錬業者や製造業者にとって原材料コスト上昇リスクを増大させます。
一方で、この米国主導の価格上昇は、世界的な銅市場の構造を変える可能性があります。中国がこれまでの主要需要国としての役割から一歩退き、米国が事実上のマーケットリーダーとして浮上する状況は、供給・価格戦略を見直す契機となるでしょう。
金属フォーカス 編集部コメント
米国向け輸出主導の銅価格上昇は、世界の供給網を圧迫し、短期的な在庫逼迫を招く可能性があります。鉱山企業や精錬業者は、価格高騰に伴う原材料戦略の見直しが不可欠です。また、米国市場が価格形成の中心になることで、長期的にはアジア市場の価格調整圧力が強まると予想されます。


