ニッケル市場:NCMとLFP、両方に成長の余地ありとVale Base Metals

Vale Base Metals NCM LFP


Vale Base MetalsのCOO、アルフレド・サンタナ氏は、NCM(ニッケル・コバルト・マンガン)正極材とLFP(リン酸鉄リチウム)電池の両方に市場の余地があると述べました。世界のニッケル供給は豊富で、特にインドネシアの生産量が急増しています。しかし、電池メーカーからの需要増加は追いついていません。サンタナ氏は「電気自動車の影響は大きいが、従来のニッケル市場も依然として強い」と強調しました。


ニッケル市場と銅生産の現状

Vale Base Metalsは2035年までに銅生産を70万トンに倍増させ、ニッケルのトップ5生産者を目指しています。銅の約30%はカナダで生産され、残りはブラジル拠点です。サンタナ氏は「銅市場は堅調で、需要も安定している」と述べました。一方、ニッケル市場では航空宇宙や防衛分野向け高純度ニッケルの供給比率が50~60%に達しており、バッテリー用途以外でも重要な役割を果たしています。


低炭素ニッケル・銅と事業戦略

Valeは低炭素ニッケル・銅市場の成熟を見据え、バリューチェーンの脱炭素化に注力しています。サンタナ氏は「ブラジルでのクリーンエネルギー導入により低炭素フットプリントを実現しており、循環型社会の構築も進めている」と述べました。ポートフォリオ拡大には慎重で、現在は銅とニッケルの運営効率向上に注力しています。競合のAnglo Americanがブラジルのニッケル資産を売却した事例は、戦略的シフトを示すものです。


ブラジル鉱業における課題

サンタナ氏はブラジル鉱業の改善点として、①鉱床マッピングの拡大(現状27%)、②外国投資を呼び込む規制環境の整備、③ライセンス取得の迅速化を挙げました。これらの課題を解決することで、ブラジルのニッケル市場と銅市場のさらなる成長が期待されます。


金属フォーカス 編集部コメント

ニッケル市場はEV普及の影響で変化する一方、航空宇宙・防衛用途や低炭素銅とのシナジーで安定性を保っています。今後は、ブラジルでの規制改革とマッピング精度向上が、グローバル供給チェーンへの影響力を高める鍵となるでしょう。

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