カナダ鉱業投資、連邦予算で200億カナダドル規模の重要鉱物ファンド設立

Canadian mining investment


カナダ連邦政府は、2025年度の連邦予算でカナダ鉱業投資を大幅に拡充する計画を発表しました。政府は、重要鉱物向けに20億カナダドル(約14億米ドル)のソブリンファンドを設立し、鉱業インフラや探査支援に数百百万ドルを割り当てる方針です。これにより、投資家やメーカーに対しカナダの鉱業競争力強化を強く示す狙いがあります。


重要鉱物戦略と新ファンドの狙い

今回の予算案では、既存の重要鉱物インフラ基金を統合し、最大15億カナダドルの支援を2029-30年まで提供する計画です。また、First and Last Mile Fundを通じて、短期的に生産可能な重要鉱物プロジェクトへの投資を促進します。Natural Resources Canadaには5年間で5,000万カナダドルが割り当てられ、ファンド設立と運営の支援が行われます。

さらに、Climate Competitiveness Strategyには4年間で5億8500万カナダドルが計上され、重要鉱物プロジェクトの気候競争力向上や加工技術開発、同盟国との共同投資、戦略的備蓄を支援します。これにより、カナダ国内の鉱業エコシステムを強化すると同時に、国家安全保障にも寄与する狙いです。


探査税額控除拡大と排出規制改革

政府はカナダ鉱業投資の一環として、重要鉱物探査税額控除(CMETC)の対象を12種類の鉱物に拡大します。対象鉱物にはビスマスセシウムクロムゲルマニウムタンタルなどが含まれ、防衛・半導体・再生可能エネルギー分野への供給強化が期待されます。加えて、鉱業企業向け資本支出税を0.4%まで軽減する措置や、産業排出キャップを排出価格制度に置き換える改革も計画されています。

カナダ鉱業協会(MAC)のピエール・グラットンCEOは、「今回の予算は投資家、メーカー、同盟国に対して、カナダが鉱業競争力を真剣に高める意思を示す」とコメントしています。カナダ鉱業投資は、雇用創出や輸出増加、先住民コミュニティへの経済波及効果も見込まれ、国内外の関心を集めています。


金属フォーカス 編集部コメント

カナダの新たな鉱業投資戦略は、重要鉱物の安定供給と加工基盤の強化を同時に進める画期的な施策です。投資の透明性と税制優遇により、グローバル資本の流入が加速すると予想されます。将来的には、北米における重要鉱物サプライチェーンの中心地としての地位を確立する可能性があります。

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