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| Defense & Security 2025 |
2025年11月10日から13日まで、タイ・バンコクのインパクト展示会場にて「Defense & Security 2025」が盛大に開催されました。アジア太平洋地域で最大規模を誇るこの防衛産業展示会は、国際的な防衛リーダーが集う重要なイベントとなっています。特に注目を集めたのは、中国の戦略的武器輸出の拡大と、それに伴う東南アジア諸国の軍事近代化の動きです。本記事では、今回の展示会の見どころとその背後にある地域的な軍事動向について詳しく掘り下げます。
アジア最大級の防衛展示会「Defense & Security 2025」の規模と注目ポイント
今年で12回目を迎えた「Defense & Security 2025」展は、世界50カ国から500社以上の防衛および国内安全保障機器メーカーが集まる一大イベントです。580社の主要企業と28の国別パビリオンが参加し、最新の軍事技術や防衛機器が披露されました。展示品には、武器システム、ミサイル、無人航空機(UAV)、戦車、通信機器、サイバーセキュリティ技術、対テロ装備などが含まれています。
特に注目すべきは、中国の先進的な武器システムの展示です。近年、中国は東南アジア諸国を中心に防衛製品の輸出を加速させており、その影響力を一層強化しています。
中国の防衛産業拡大とタイの軍事調達
「Defense & Security 2025」における注目点の一つは、中国の多様な先進的な兵器システムの展示です。2023年、タイ王国は初めて中国製の軍用ドローン4機を購入し、2024年には中国製QBZ-195Tライフルを採用、これにより中国製兵器の導入が加速しています。タイは、米国からより多くの兵器を購入する国ではなく、中国からの兵器調達が進んでおり、これは地域的な軍事戦略の一環と見られます。
タイの防衛調達戦略は、より近代化された兵器体系を導入することに重点を置いており、中国からのVN-1装甲歩兵戦闘車やVT-4主力戦車などがその例です。これにより、タイは中国の兵器輸出の主要市場となり、特にアジア太平洋地域での軍事力強化を図っています。
東南アジア地域の軍拡競争とタイの防衛予算
タイの軍事近代化は、東南アジアにおける防衛力強化競争の一環として位置づけられます。インドネシア、シンガポール、ベトナムなどが、南シナ海における領土問題を巡り、積極的に防衛予算を増加させている中、タイもその流れに乗り、防衛力の強化を進めています。シンガポールはF-35B戦闘機の導入を進め、インドネシアは130億ドルの防衛予算を確保しました。
タイの2024年の防衛予算は1983億バーツ(約55億ドル)で、前年より2%増加しており、これにより新たな兵器調達が進むことが予想されています。タイ王国は、米国製ストライカー歩兵戦闘車やイスラエル製軍用ドローンの導入を含む、多様な軍備調達を進めています。
グローバルな防衛業界の動向と将来展望
「Defense & Security 2025」の開催を通じて、グローバルな防衛業界の動向も浮き彫りとなっています。2025年6月にオランダで開催されたNATOサミットでは、加盟国がGDPの5%を防衛費に充てることを合意しました。この新たな防衛費増額は、急速に変化するグローバルな安全保障環境に対応するための重要な施策とされています。
米国は依然として世界最大の兵器輸出国であり、2020年から2024年の期間中、世界の武器輸出の43%を占めています。一方で、中国は世界第4位の兵器輸出国として、特にアジアおよびアフリカ地域への輸出を強化しています。これにより、今後のグローバルな軍事バランスに重要な影響を与えることが予想されます。
金属フォーカス 編集部コメント
防衛産業は今後ますます複雑化し、地域ごとの軍事力バランスの変化が、世界的な安全保障に大きな影響を及ぼすでしょう。特にアジア地域における中国の影響力拡大は、今後の軍事技術や金属素材需要に大きな影響を与えると予測されます。産業関係者は、これらの動向を注視し、迅速に対応する必要があります。


