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| Brazil Steel Slag |
ブラジル農務省(Mapa)は、鉄鋼スラグ 農業利用の新たな展開として、Companhia Siderúrgica Nacional(CSN)製の鉄鋼スラグを土壌酸性度矯正用の原料として正式に登録しました。これにより、鉄鋼副産物の農業活用が全国規模で可能となります。
CSNスラグの登録と科学的評価
今回の承認は、2025年11月19日に発効しました。Mapaは、化学組成、安全性、アルカリ化特性を詳細に評価し、全国的な農業利用を認めました。承認直前には、米国で行われた予備的フィールド試験により、酸性土壌にスラグを施用すると孔隙水のpHとアルカリ度、土壌pHおよびカルシウム飽和度が向上することが報告されました。研究者はこれを、現場条件下での強化された岩石風化(Enhanced Rock Weathering:ERW)の証拠と解釈しています。
市場拡大と産業的意義
CSNのスラグは完成肥料ではなく、酸性土壌矯正用肥料原料として位置付けられています。この分類により、農業用投入資材への組み込みが可能となり、CSNは従来の鋼材市場に加えて新たな事業領域を開拓できます。一方で、過去のスラグ管理問題も注目されており、リオデジャネイロ州ボルタ・レドンダでの旧スラグ堆積に関する環境訴訟も継続中です。
今後の展望と規制環境
鉄鋼スラグの農業利用は、土壌酸性化対策や炭素固定型施肥技術としての応用が期待されます。政策・規制面での承認は業界全体に波及効果をもたらし、鉄鋼メーカーと農業事業者双方の新規ビジネスチャンスを創出します。
金属フォーカス 編集部コメント
CSNスラグの農業利用承認は、鉄鋼副産物の価値向上と循環型資源利用を示す重要事例です。今後は環境規制遵守と科学的検証を前提に、鉄鋼業界と農業分野の連携拡大が期待されます。
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