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| US defense department cobalt |
米国防総省は、5億ドル規模のコバルト調達入札を2025年11月末までに再発行すると発表しました。この入札は2026年2月初旬に契約先が決定される見込みです。前回の入札は8月に開始されましたが、提出期限の遅延と作業指示書の問題により10月にキャンセルされました。
コバルト供給と主要企業の動向
米国防総省の入札対象は、バレ(カナダ)、住友金属鉱山(日本)、グレンコアのニッケルヴェルク工場(ノルウェー)による合金用コバルトです。各社には5年間の固定価格提案が求められました。一方で、コンゴ民主共和国(DRC)の供給増加や電気自動車(EV)市場の需要減少により、2025年初頭のコバルト価格は歴史的な低水準まで下落していました。
しかし、DRCの生産管理と輸出クォータ制度の導入により、コバルト価格は急上昇しています。EVバッテリー向けコバルト硫酸塩の中国市場価格は、年初から335%上昇し、2025年10月時点で1トンあたり11,932ドルとなっています。この価格はコバルト含有率100%換算で58,200ドルに相当します。これにより、米国の入札再開はグローバル市場に直接影響を与える可能性があります。
米国市場参入の戦略的意義
米国政府の入札再開は、コバルト供給の多様化と国家安全保障の観点から重要です。EVおよび航空宇宙向けの合金需要が依然として高く、米国防総省の新規契約は市場価格のさらなる上昇を後押しする可能性があります。加えて、CMOCグループのCEOは現行価格水準が需要減少や代替素材へのシフトを招く可能性があると警告しています。
米国 コバルト入札再開は、供給不安定性が高まる中で、投資家・メーカーにとって注目すべき動きです。今後もDRCの政策と米国の調達動向が価格形成に大きく影響すると見込まれます。
金属フォーカス 編集部コメント
米国 コバルト入札再開は、防衛用途を中心とした長期契約によって市場価格を安定化させる可能性があります。DRCの輸出制限と連動し、グローバルなサプライチェーンの再編を促すでしょう。今後は、EV業界の需要動向と価格高騰がコバルト利用戦略に直結する局面が続くと予想されます。


