![]() |
| UBC Scrap |
UBCスクラップ輸出禁止の提案と業界の懸念
米国で提案されているUBC(使用済み飲料缶)スクラップの輸出禁止が注目を集めています。提案の目的は、国内製造業を支えるために高品質のアルミニウムスクラップを米国内に留めることにあります。しかしながら、業界関係者はこの輸出禁止の実効性や市場への影響に懐疑的です。スクラップと一次アルミニウムの性質の違いや、輸出禁止による価格や供給チェーンへの波及効果が懸念されています。
米国のUBCスクラップ市場の現状と輸出動向
米国は2024年に約46万トンのUBCスクラップを輸出し、前年から約9%減少しました。2025年1~7月の輸出量は前年同期比で約41%も減少しています。一方で、同期間に国内へのUBCスクラップの輸入量は50%以上増加し、主にメキシコやカナダからの供給が中心です。アルミニウム業界は国内生産の約85%をスクラップに依存しており、UBCスクラップは特に貴重な資源と位置付けられています。
輸出禁止の課題と市場の声
UBCスクラップ輸出禁止は一見、国内供給の確保に寄与しそうですが、リサイクル能力の不足や生産者の原材料ニーズの多様化が課題です。多くの製錬所はスクラップの使用を増やしたいものの、設備の制約やスクラップの種類による利用制限があります。市場関係者は、輸出禁止がかえって価格下落や市場混乱を招く恐れを指摘しています。
中国やアジア市場の反応と国際的影響
中国は既にアルミニウムスクラップの輸入規制を緩和し、輸入量を拡大しています。中国やインド、香港、日本、東南アジアの中流処理拠点は米国の輸出禁止案に強い関心を示し、禁止措置が広がれば原材料不足や生産コスト増加につながる可能性があります。一方で中国は国内スクラップ収集体制の強化に注力しており、世界的なスクラップ需給の動向が注視されています。
金属フォーカス 編集部コメント
UBCスクラップの輸出禁止は米国の製造業支援策として注目されますが、国内のリサイクル能力不足や国際市場との連携を考慮すると、単純な禁止措置は慎重に判断すべきです。今後は政策、物流、技術革新が一体となったサステナブルな資源循環体制の構築が重要となります。


