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| Appian Capital Advisory Critical Minerals |
英国のプライベート・エクイティ企業アピアン・キャピタル・アドバイザリー(Appian)が、世界銀行傘下の国際金融公社(IFC)と連携し、10億ドル規模の重要鉱物・金属・鉱業ファンドを立ち上げました。このファンドはアフリカやラテンアメリカを中心とした新興市場の鉱業プロジェクトに特化し、経済成長やエネルギー転換、デジタル技術に不可欠な資源の持続可能な開発を目指します。
新興市場の鉱業開発を対象とした戦略的投資
IFCは当初1億ドルを出資し、IFC資産運用部門が追加資金を募ります。ロンドン拠点のアピアンが運用を担当し、株式、クレジット、ロイヤリティー投資を通じて鉱山の建設、生産、拡張などあらゆる段階のプロジェクトに資金を提供します。今回のファンドは、新興市場に限定した鉱業専門の投資ビークルとしては初めての試みです。
アピアンの創業者兼CEOマイケル・シェルブ氏は「IFCの出資は、私たちが高品質資産を責任を持って開発し、長期的価値を創出する能力の強力な証明だ」とコメントしました。IFCのマクタール・ディオプマネージングディレクターは「鉱業は産業育成や雇用創出、経済成長の原動力となる。民間資本の流入が途上国の資源開発と地域社会の利益に繋がる」と強調しています。
ブラジルのニッケル鉱山を初期投資先に選定
ファンドの最初の投資先は、ブラジル・バイーア州のアトランティック・ニッケルが運営するサンタリタ鉱山です。同鉱山は露天掘りから地下採掘へ移行中で、年間約3万トンのニッケル換算生産が見込まれ、採掘寿命は30年以上とされています。アピアンは2023年から2030年にかけて6億ドルを地下採掘への転換に投入する計画です。
持続可能な鉱業開発と社会的責任の確保
すべての投資案件はIFCのパフォーマンス基準および環境・社会・ガバナンス(ESG)基準に適合し、国際的な責任ある鉱業のベストプラクティスを満たします。IFCとアピアンは過去10年間にわたり協業し、アフリカの希土類や金鉱山開発で成功を収めてきました。アピアンは2016年以降、12件の鉱業プロジェクトを稼働に導き、これは世界大手5社の合計を上回る実績です。
金属フォーカス 編集部コメント
今回のファンド設立は、途上国における重要鉱物資源の持続可能な開発を加速させる重要な一歩です。エネルギー転換やデジタル化の需要増大を背景に、資源の安定供給が世界経済の成長戦略でますます重要になります。投資家と政策担当者は新興市場の動向を注視し、ESG基準を満たした責任ある資源開発に注力する必要があります。


