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TiVac Alloys |
英国のフェロチタニウム生産企業、TiVac Alloysが生産とスクラップ処理をシェフィールドで停止し、任意清算手続きを開始しました。この決定は、同社が直面した高い電力コストとフェロチタニウム価格の急落によるものです。フェロチタニウム価格は昨年から一貫して下落しており、現在では5年ぶりの低水準に達しています。
TiVacの清算決定と生産停止
TiVacはシェフィールドにあるOakes GreenとBlackburn Roadの2つの拠点で、チタニウムスクラップからフェロチタニウムを製造していました。同社の名目生産能力は月1,500トンですが、過去1年間は市場の低迷を受け、月500〜600トンでの運転にとどまっていました。生産停止に伴い、同社の建物や設備、資産、土地などは清算手続きの一環として売却されます。
一方で、TiVacはベルギーの商社Metracoの子会社であるFE Mottram、Metals and Alloys International(最近、Mottramに買収)のコンバージョン契約の一部として、両拠点で生産を行っていました。Metracoは、エストニアの自社フェロチタニウム工場「Ti Q」に生産をシフトする計画です。
Metracoの新たな戦略と市場への影響
Metracoはエストニアの「Ti Q」工場に焦点を合わせることになり、同工場の名目生産能力は月600トンですが、第二炉を活用することでさらに生産能力を増強できると報告されています。これにより、同社は英国向けの長期契約をエストニア工場で対応することになります。
フェロチタニウムの市場においては、TiVacの閉鎖による近未来の価格への影響は限定的と予想されています。というのも、契約に基づく生産量は在庫や代替生産で対応可能であり、鉄鋼所からの新たな需要も低調であるためです。従って、他の生産者の休眠設備を再稼働させることで、欧州および英国の生産ギャップはカバーされる見込みです。
UKのフェロチタニウム市場に与える影響
TiVacの閉鎖により、英国のフェロチタニウム市場には変化が訪れました。特に、シェフィールドを拠点とするTransition Metalsが唯一のフェロチタニウム生産者として残ることになります。この動きは、英国国内でのスクラップ需要の減少を引き起こし、スクラップ価格に下落圧力をかける可能性があります。これは、スクラップ業者がEU向けへの輸出を避ける場合、さらに顕著になるでしょう。
金属フォーカス 編集部コメント
TiVacの閉鎖は、英国フェロチタニウム市場における競争環境に重要な変化をもたらしました。Metracoのエストニア工場へのシフトにより、同地域での生産能力の集中が進む一方で、英国市場は新たな需要と供給のバランスを再構築する必要に迫られるでしょう。国内スクラップ市場への影響も引き続き注視が必要です。